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ビルに押しつぶされ、妻と娘を失った男性は1年で酒量が増える…「忘れ去られるんだろうと感じる」

読売新聞 / 2025年1月2日 19時51分

ビルが倒壊した現場を訪れる楠健二さん(1日、石川県輪島市で)=関口寛人撮影

 能登半島地震で倒壊したビルに石川県輪島市の自宅兼店舗が押しつぶされ、妻と長女を亡くした楠健二さん(56)が1日、現場を訪れた。あの日まで家族と幸せに過ごしていた場所に立つと、「助けてあげられず、謝ることしかできない」と悔やんだ。

 楠さんは地震後、妻の由香利さん(当時48歳)と長女の珠蘭じゅらさん(同19歳)らと2018年まで暮らした川崎市に転居し、居酒屋「わじまんま」を営んでいる。店は多くの客でにぎわうが、妻のいない自宅はむなしく、酒量が増えた。閉店後に川崎の街で深酒する日も多い。

 倒壊した7階建てビルは昨年11月に本体の解体が始まった。国土交通省が原因を調べるため、根元付近だけが残された状態にある。以前は少し離れた場所からでも確認できたビルの姿はもうない。楠さんは「ビルがなくなったら、忘れ去られるんだろうと感じる」と寂しそうに語った。

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