「生き延びるだけで精いっぱいの1年だった」「会えなくて寂しい」…午後4時10分に追悼の鐘18回
読売新聞 / 2025年1月2日 22時4分
石川県内に甚大な被害をもたらした能登半島地震は1日、発生から1年となり、輪島市や珠洲市などの被災地の各地で、地震発生時刻の午後4時10分には犠牲者を悼む黙とうがささげられた。一方で、被災者を勇気づけるイベントも展開され、復興への思いを新たにした。
輪島市門前町門前の総持寺祖院では、能登半島地震と昨年9月の豪雨の犠牲者を悼む法要が営まれ、午後4時10分に合わせて追悼の意を込めた鐘が18回鳴らされ、地元住民らが黙とうをささげた。
自治体の応援職員らの仮設宿泊所で働く同市の男性(46)は、自宅の下敷きになって亡くなった消防団の先輩の写真を手に訪れた。男性は「面倒見の良い、頼りになる人だった」と故人をしのびつつ、「今年も宿泊所で支援者を支え、復興に向け、手助けをしていきたい」と思いを新たにしていた。
同市町野地区周辺の犠牲者を悼む法要も、同地区の天王寺で営まれた。地震と豪雨による県内の死者計514人と同数の灯明が設置され、周辺の住職や
同市南志見地区の仮設住宅で暮らす女性(77)は「多くの人が亡くなり、心がモヤモヤしたが、少し穏やかになった。がんばっていきたい」と話した。
津波被害を受けた珠洲市宝立町鵜飼の海岸では午後4時10分に、住民らが黙とうをささげた。海岸沿いから見える見附島は、地震で南東側が崩れ、以前の半分ほどの大きさになっている。
能登町出身で幼い頃から見附島を見てきたという金沢市のトラック運転手の男性(65)は「地震がもたらしたものを伝えたくて、大学生の子2人を連れて来た。さみしさがこみ上げてきた」と話していた。
地震後の大規模火災で焼失した輪島市河井町の朝市通り周辺では、亡くなった親族や知人を悼む人々が訪れ、花を供えた。
夫のいとこを亡くした女性(64)は「生き延びるだけで精いっぱいの1年だった。全て失ってしまったが、何世代も引き継いできたこの場所がどう変わっていくか見ていかないといけない」と話し、静かに手を合わせた。
年下の友人を亡くした女性(68)は、友人の好きだった赤いチューリップの入った花束を供えた。2023年12月に会ったのが最後だった。「仲良くしてくれ、年末にはいつもころ柿をくれた。亡くなった人は戻ってこない」と涙をこぼした。朝市通り近くに住む漆塗り職人の男性(79)は、40年来の友人を亡くし、友人宅前に花を供え、「大変な1年だった」と振り返った。
輪島市の門前総合支所には、地震と豪雨で亡くなった人を弔う献花台が設けられた。地震で長年連れ添った夫を亡くした市内の女性(73)は「お父さん、ちょっとだけど私の気持ちよ」と花束を手向け、「会えなくて寂しい。やっと1年たった」とつぶやいた。
長期間避難所となっていた珠洲市の大谷小中学校内にも献花台が設けられた。
中学生からの親友を地震で亡くした同市の女性(77)は「もう会えないと思うとさびしい」と静かに手を合わせた。
輪島市河井町の重蔵神社では朝から地元住民らが初詣に訪れ、復旧・復興や新年の平穏を祈った。
この神社は地震で本殿や拝殿が損壊。木材で支えられた壁はブルーシートで覆われ、境内に仮の社とテントを設け、参拝場所とした。
参拝した仮設住宅で暮らす無職の男性(76)は「昨年は地震があったが、1年間無事で命があったことに感謝した」と話した。
年賀状配達やマルシェも
被災地での年賀状配達が行われ、能登町松波の松波郵便局は午前8時半頃に出発式を実施した。局員らは町内をまわり、仮設住宅などに年賀状を届けた。小秀一局長(61)は「昨年はつらい1年だったが、年賀状を楽しみにしている人たちがいる。元気よく確実に渡したい」と話していた。
輪島市内では、復興市場「わじまるしぇ」が開かれ、うどんや、香箱ガニが入ったみそ汁などを求めて地元住民ら多くの人でにぎわった。30人以上のボランティアが販売を代行したという。
七尾市田鶴浜地区の市田鶴浜体育館では、犠牲者らを追悼する「たつるはまのつどい」が開かれた。会場では、祈りが込められた折り鶴が、献花の代わりに飾り付けられた。もちつきや菓子類の販売も行われた。
主催した市民団体「たつるはま未来会議」のメンバーで高校2年の生徒(16)は、「人の結びつきが強いのが田鶴浜の良いところ。人が集える場所を作っていけたら」と抱負を語っていた。
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