個性派集団まとめ箱根制した青学大主将、春からはアナウンサー「誰かの背中をソッと押せるような実況者に」

たなか　ゆうと　福井県出身。福井・敦賀気比高出。経営学部４年。箱根駅伝は２年時に８区５位＝高橋美帆撮影

［顔］箱根駅伝で総合優勝した青学大主将　田中悠登さん　２２

　今春で陸上を引退し、地元の福井放送でアナウンサーとなる。２年ぶりの箱根は９区２位と好走し、鶴見中継所で「今、トップでたすきリレー」と自ら実況しながらたすきを渡した。「１年間自分のいい走りを実況するイメージを膨らませてきたから、無意識に出ちゃいました」と笑った。

　アナウンス職志望の理由は「自分が話すことで、人がちょっと笑顔になってくれるから」。しかし、アナウンススクールに通う時間はない。自身のＳＮＳにスーツ姿でニュース原稿を読み上げる動画を投稿し、技術を磨いた。前回大会は就職活動中で、無理に練習をこなそうとして故障。「表で明るく振る舞うことがチームのため」と、メンバー落ちしたことを気丈に伝える様子も投稿した。

　主将に就いた今季は、実況風に部員に語りかけて場を和ませ、「小さなこだわりを持とう」などと引き締めにも気を配った。「言葉を発するには重い責任が伴う。構成にもこだわった」。持ち前の明るさと責任感で、個性派集団をまとめた。

　今後はカメラの前が仕事場になる。「田中になら話してもいいなと思われる取材者、誰かの背中をソッと押せるような実況者になりたい」と誓った。（運動部　井上敬雄）