青山学院大、野村昭夢が6区で前人未到の56分台…驚異の山下りに会心の笑み
読売新聞 / 2025年1月3日 21時55分
3日の箱根駅伝復路は、青学大が往路のリードを守り切り、2年連続の総合優勝を果たした。6区野村(4年)が区間新記録の快走でリードを広げ、8区塩出(3年)、10区小河原(1年)も区間賞を獲得した。
記録だけとの戦い、限界への挑戦
トップで山を下り始めた青学大の6区野村(4年)は、何度も時計を確認した。「(区間2位だった)前回は後ろとの差を気にして走っていた。今回は違う」。他人は視界になく、記録だけとの戦い。前人未到の56分台を見据えて高速ピッチを刻み続け、「自分の限界への挑戦。結果的に差を広げられて良かった」。会心の笑みが広がった。
7区で駒大の追い上げもあったが、野村が4分近くまで広げたリードが効いた。8区塩出(3年)、10区小河原(1年)も伸び伸び走って区間賞。前回作った大会記録を1年で更新した。それでも2年連続区間賞の塩出が「前回の自分の記録を上回れず悔しい」と語ったところに、青学大の飽くなき向上心が表れていた。
初制覇から11大会で優勝8回。高校トップ選手を順調に成長させ、ピークの調整は絶妙だ。原晋監督は「箱根を戦うメソッドが確立されている。大枠は変わっていない」。それでも今季は寮を改修。厨房を備え、これまで業者任せだった食事を、OBのシェフと監督の妻・美穂さんが作るようになった。また、温冷水の交代浴設備も作り、故障防止法もアップデートした。
慣れが一番の敵
練習も同様だ。9区2位だった主将の田中(4年)は「慣れが一番の敵。伝統も形だけになり、動きが雑になることがある」と独自の体幹トレなども細部を磨き直したという。「練習の設定タイムは格段に上がり、数年前の自分に言ったら驚かれるはず」と胸を張る。
進化を求めた結果の2連覇に、「常に個々人の半歩先に目標を設定し、自律したチームになった。組織として強くなった」と指揮官。さらなる連覇の継続を予感させた。(井上敬雄)
金栗杯・MVPダブル受賞
最も活躍した選手に贈られる「金栗杯」、新設の総合優勝に最も貢献した大会最優秀選手(MVP)には、いずれも6区で区間新記録を樹立した青学大の野村昭夢(4年)が選ばれた。「どちらかを取れればと思っていた中でのダブル受賞。本当にうれしく思う」。卒業後は実業団に進む予定で、「5000メートルで日本選手権の上位に入れる選手になっていきたい」と誓った。
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