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上皇后さま、未発表の短歌466首…歌集「ゆふすげ」今月刊行・半世紀のさまざまな思い伸びやかに

読売新聞 / 2025年1月4日 15時0分

歌集を刊行される上皇后さま(2019年撮影)

 90歳になられた上皇后さまの歌集が、編まれることになった。1968年(昭和43年)から2018年(平成30年)まで半世紀にわたり、私的に詠んだ未発表の短歌466首が収められている。歌を心の友として生きてきた上皇后さまの一人の女性としての姿が浮かび上がる。

 <三日みかの旅終ヘて還らす君を待つ庭の夕すげかしぐを見つつ>(1974年)

 この歌は、当時皇太子だった上皇さまが「三日の旅」に出られ、一人で御所で待っていたときの歌という。歌集の題名にも取られた夕すげは初夏に、ユリに似た淡黄色の花をつける。山野に咲く美しい花に託すかのように気品を感じさせる作品が並ぶ。

 「生命」と書かれた歌には、春に向かう木の枝の情景が描かれている。

 <枝枝に生命いのち満つるか固き芽の春待つかたちみな空に向く>(70年)

 未発表の歌は、皇室の和歌の相談役、御用掛を務める歌人の永田和宏さん(77)が、宮内庁とのやり取りの中で存在を知り、歌集を編むことにつながった。「繊細で豊かな感性があり、伸びやかな歌。日々の出来事や家族などへのさまざまな思いを詠まれている。上皇后さまをはじめ皇室の方々を、私たちと身近な存在と感じてほしい」と語る。

 95年に阪神大震災が起きた後には、<被災地に手向たむくと摘みしかの日より水仙の香は悲しみを呼ぶ>(97年)と思いを寄せた。2011年の東日本大震災に際しては、<帰り得ぬ故郷ふるさとを持つ人らありて何もて復興と云ふやを知らず>(14年)と被災者を深く気遣われた。

 この歌集「ゆふすげ」は1月15日、岩波書店から刊行される。

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