1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

中国・瀋陽に視覚障害者専門の老人ホーム…日本の視察経て開設、高齢化進み障害に応じた施設求める声

読売新聞 / 2025年1月5日 0時14分

張り巡らされた手すりを頼りに施設の庭を散歩する鄭鵬さん(左)夫妻(昨年12月18日、瀋陽で)=大原一郎撮影

 【瀋陽=出水翔太朗】中国東北部の遼寧省瀋陽に、視覚障害者を専門で受け入れている老人ホーム「瀋陽海漫智慧養老中心」がある。中国本土では初となる施設で、日本での視察を経て2019年に開設された。障害者団体などからは同様の施設を増やすよう求める声が上がっている。

 山西省から移住した鄭鵬さん(77)夫妻は昨年12月中旬、ホームの庭で散歩を楽しんでいた。2人とも目が見えないが、歩道に設置された手すりを頼りに、ゆっくりとした足取りで前に進む。鄭さんは「以前は付き添いがなければ散歩もできなかったが、ここでは安心して運動できる」と笑顔だった。

 ホームでは遼寧省だけでなく北京や上海などから移り住んだ約100人が暮らす。同じ障害を持ち、気兼ねなく生活できる利点がある。開設したのは、理事長を務める関健さん(38)の家族が失明し、視覚障害者が安心して暮らせる環境が整っていないことを知ったからだ。周辺に参考となる施設はなく、友人を通して視覚障害者を専門で受け入れている東京都内の老人ホーム「聖明園曙荘」を視察した。わずかな段差でも転倒の危険があることや、手すりがあれば安心して歩けることを学び、ホームの設計に生かした。関さんは「人々が安心して暮らせるよう、細かな気配りが施されていたことに感動した」と振り返る。

 香港とマカオを除く中国本土では、23年末時点で65歳以上の人口が2億人を超え、総人口の15・4%となった。視覚障害者は1700万人を上回る。高齢化の進展に伴い、視覚などに障害を持つ人々が増えることが予想されるため、障害に応じた施設を求める声は根強い。視覚障害者団体「中国盲人協会」は22年、各省に少なくとも1か所、視覚障害者向けの老人ホームを作るよう提言した。目の不自由な人が老人ホームへの入居を申し込んだ際、断られる事例もあったという。

 関さんらは23年、河南省に分院を開設した。関さんは「目の見えない人々が心身ともに安心して暮らせるよう、利用者の立場に立った施設運営を続けたい」と力を込める。関さんらは年内にも訪日し、視覚障害者が入居する老人ホームを視察して交流を深める計画だ。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください