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永谷園やスノーピークも、経営陣の自社株買いで株式非公開化…「投資家の圧力」回避で最多水準

読売新聞 / 2025年1月5日 12時6分

 上場企業の経営陣による自社株買収(MBO)で株式が非公開化されるケースが増えている。2024年は11月までに計18件と過去最多水準に上った。資本市場改革などで強まる投資家からの圧力を避ける狙いがあり、25年もMBOを決断する企業が相次ぎそうだ。(市川大輔)

セブン&アイも検討

 M&A助言会社のレコフによると、24年1~11月のMBOは18件で、これまで最多だった11年通年(21件)に迫る。消費者にもなじみが深い永谷園ホールディングス(HD)や、スノーピークといった有名企業もMBOを決めた。

 中でも関係者を驚かせたのは、小売り大手セブン&アイHDのMBO検討だ。昨年11月13日、創業家などからMBO提案を受けたことを発表した。買収総額は史上最大の9兆円規模と想定され、創業家側は現在、資金調達を進めている。

 最近は大株主の創業家がMBOを手がけ、投資ファンドが資金支援する大型案件が増えている。MBOを助言する投資銀行幹部は「熱気は年々高まっている。今も開示前の案件が多く走っており、25年も増えるだろう」と話す。

指針の影響

 MBOが増える背景には、市場からの圧力がある。

 東京証券取引所は23年、株価や投資家を意識した経営改革を上場企業に要請した。投資ファンドなど「物言う株主」を含む投資家から、株主還元や短期的な利益を要求される傾向が強まり、当局から情報開示を求められる項目も増え続けている。

 米投資ファンド、ベインキャピタルの杉本勇次・日本代表は「上場していると中長期的な成長を目指す経営がしにくい。我々は客観的な経営判断やグローバルな販路開拓も支援できる」と語る。

 また、経済産業省が23年に策定した指針の影響で、企業の事前同意を得ずに買収する「同意なき買収」がしやすくなり、買収される側は合理的な理由がなければ断れなくなった。セブンのMBO検討も、カナダのコンビニ大手から買収提案を受けたのがきっかけだ。

 企業が株式上場するのは、資金調達のしやすさや知名度が向上するメリットを受けるためだ。「知名度が十分な企業ならMBOで失われるメリットは限定的だ」(野村証券の清田亮グローバルM&A統括)という。

巨額の資金

 ただ、MBOには巨額の資金が必要だ。経営陣が既存株主から株式を買い取るため、企業が代わりに借金を背負うことがある。西村あさひ法律事務所の太田洋弁護士は「借金が重すぎると、経済環境が急変したときに耐えられないリスクがある」と指摘する。

 23~24年の大正製薬HDのMBOでは、既存株主から「買い取り価格が安い」と指摘され、訴訟も起こされた。こうしたケースに対応するため、東証は24年度中にもMBOに関する企業行動規範を見直す方針だ。

◆MBO=「マネジメント・バイアウト」の略で、企業の合併・買収(M&A)の手法の一つ。経営陣が、自己資金や金融機関から調達した資金を使って自社株を買い取る。株式を非公開化し、自由に経営しやすくなる利点がある。

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