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食品ロス 工夫次第で削減の余地はある

読売新聞 / 2025年1月5日 5時0分

 まだ食べられる食品が廃棄される「食品ロス」の削減は、食料自給率が低い日本社会の大きな課題である。削減に向け、国や企業は、知恵を絞らなければならない。

 政府が食品ロスの新たな削減目標を公表した。2000年度に547万トンだった食品製造業や外食産業などの事業系ロスを、30年度までに6割減らすという。

 当初は半減を目指していたが、22年度に236万トンと目標を前倒しで達成した。このため、さらに1割厳しい目標を設定した。

 食品業界には、製造から賞味期限までの期間の3分の1を過ぎると、小売店に納品できないという商慣行がある。この慣行を見直し、加工食品の賞味期限を延長したことなどが功を奏したのだろう。

 今後はAI(人工知能)を使った需要予測なども活用し、供給の適正化にも努める必要がある。

 それでもなお、食品製造業のロスは年117万トン、外食産業は60万トンにも上っている。削減の努力を怠ってはならない。

 新たな目標達成には、さらに17万トンの削減が必要になるが、できることはまだまだ多いはずだ。

 食品製造事業者などから規格外の商品を無償で譲り受け、福祉施設などに提供する「フードバンク」の活用も一案だ。

 政府は、食品の安全管理などフードバンクの質を担保するための認証制度作りを進めている。

 事業者側に根強い「どこに寄付すれば良いか分からない」という声や、食中毒などの事故に対応できる体制を整え、食品の寄付を促していくことが重要だ。

 家庭の事情や物価の高騰で、食事を十分に取れない子供は少なくない。無料か低額で食事を提供する「子ども食堂」は、全国で1万か所を超えた。だが、食品の寄付は年間1万トン程度で、支援物資の不足に悩む運営団体も多い。

 事業者などからの大口寄付が増えれば、ロスの削減と生活困窮者の支援が両立できる。学校給食での活用などについても制度化を検討してはどうか。

 外食産業のロスを減らすには、消費者が食べ残さないことはもちろん、店側も「小盛り」などの注文に柔軟に対応すべきだ。

 一方、家庭での食品ロスは22年度236万トンとなっている。

 豆腐や納豆など安価な食品を買いすぎたり、家庭内で料理を作りすぎたりして余って捨てるケースが多い。一人ひとりが「買いすぎない」「作りすぎない」という意識を持つことが大切だ。

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