井上尚弥の無双はどこまで続くのか 25年は米国&サウジアラビア連戦計画...識者は「巨額ファイトマネー」に注目
J-CASTニュース / 2025年1月5日 12時0分
井上尚弥選手(写真:山口フィニート裕朗/アフロ)
プロボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、31)は、2024年も強かった。
「井上はメンタル的にも技術的にも充実している」
5月6日に東京ドームで元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ、30)を6回TKOで破り、9月には元IBF世界同級王者テレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド、38)を7回TKOで下して王座防衛に成功した。
24年は2人の元世界王者を倒して2連勝。これでデビュー以来負けなしの28戦全勝(25KO)とした。
すでに世界のトップボクサーとして世界中のボクシングファンに知られる「モンスター」。さらなる飛躍が期待される25年はどのような年になるのか。
J-CAST編集部は、数多くの世界戦をプロモートしてきたTMKジムの金平桂一郎会長(59)に、24年を振り返りつつ、25年の展望を聞いた。
金平会長は、24年の井上の印象を、こう表現した。
「ネリ戦でダウンがあったが、おおむね『井上尚弥強し』ということが、さらに確認された1年だったと思います。ダウンした後の対処を含めて、強さ見せた。1ラウンドにまさかのダウンを喫しても、本人が一番冷静でした。そして、ダウンの後、快勝した。メンタル的にも技術的にも充実している。ドヘニー戦も安定した強さを見せました」
25年はWBC世界バンタム級王者・中谷潤人との対戦はなし
日本人ボクサーとして初めて東京ドームでメインを務めたネリ戦。世界中の注目が集まる中、井上は1ラウンドにネリの左フックでダウンを喫した。プロ入り後、初となるダウンだった。絶対王者のまさかのダウン。ファンの不安をよそに、リング上の井上は冷静そのものだった。
ダメージを引きずることなく、2ラウンドにダウンを奪い返すと、5ラウンド、6ラウンドにもダウンを奪い、結局6回TKOでネリを破った。再三にわたり挑発されてきた「因縁」の相手に逆転TKOで勝利。金平会長は、ネリ戦勝利の意義を、次のように解説した。
「ネリを倒す前からスーパーバンタム級では敵がいないと思っていたが、ネリを破って、なおのことその印象を深くした。『やっぱりね』と。1ラウンドのダウンは不覚の一発で、その後の対処を間違えると、もしからしたらネリに持っていかれた可能性もあった。そこを冷静にうまく対応した。パンチが効いてダメージはあったと思うが、揺るがなかった。そういうところを含めた強さだと思います」
24年の試合は、9月のドヘニー戦が最後となったが、当初の予定では、12月24日にWBO・IBF世界同級1位サム・グッドマン(オーストラリア、26)との防衛戦を予定していた。ところが、グッドマンが練習中に左目上をカットし、試合は1か月延期となった。
25年の初戦は1月24日のグッドマン戦となる。スポーツ紙の報道によると、春に米ラスベガス、秋にサウジアラビアでの試合が予定されている。
25年は3試合が見込まれている。この中には、注目されているWBC世界バンタム級王者・中谷潤人(26)との対戦はないという。井上が所属する大橋ジムの大橋秀行会長(59)が明らかにしたのもので、実現するとしたら26年以降になるようだ。
ネリ戦のファイトマネーは10億円超え
井上の25年はどのような年になるのだろうか。金平会長は、こう予想した。
「もしかしたら25年は日本での試合が1試合になるかもしれない。ここで注目されるのは、対戦相手もさることながら、井上選手に巨額のファイトマネーが発生することになるだろうということだと思います。フェザー級に上げるのは当分先でしょうし、中谷選手と対戦するのも2026年以降になる。そうなると、井上選手のファイトマネーにスポットが当たると思います」
井上のファイトマネーは、スーパーバンタム級では破格とされる。
スポーツ紙の報道によると、東京ドームで開催されたネリ戦のファイトマネーは10億円を超えたという。そして、11月にサウジアラビア政府直轄のプロジェクト「リヤド・シーズン」とスポンサー契約を結んだことから、サウジアラビアでの試合で巨額のファイトマネーを得る可能性が出てきた。
金平会長は「プロなのでファイトマネーがフォーカスされるのは当然のこと」とし、次のように持論を展開した。
「12月22日にサウジアラビアのリヤドで行われたヘビー級タイトル戦でも両者のファイトマネーの総額が295億円ということで、大きな話題になりました。リヤドの興行は、このような大きな規模になり、当然、井上選手はどうなるのかと注目される。アメリカでの試合も、それなりのファイトマネーになると思うので、そこも注目されます」
「具志堅用高さんが、王貞治さんと年間所得を競い合っていた時期が」
そして、金平会長はファイトマネーに関する過去のエピソードに言及。WBA世界ライトフライ級の元王者で、世界王座13度の防衛を誇る具志堅用高氏(69)と、プロ野球巨人の元選手で、「世界の本塁打王」として人気を博した王貞治氏(84)の名を挙げ、当時のエピソードを披露した。
「思い出すのは、昔、具志堅用高さんが、プロ野球の王貞治さんと年間所得を競い合っていた時期がありました。そういうことが話題になった時代があった。プロスポーツ選手の話題としては、そういうものも面白いと思います。大谷翔平選手は桁が違うとは思いますが、ボクシングの選手がそういうことで話題になるだけでも楽しい。大橋会長は、そこを意識していると思います。それがプロとしてのモチベーションですから」
25年の井上は、どのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。25年も世界の「モンスター」から目が離せない。
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