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原口元気「勝ったと思った」ベルギー戦…なぜ日本代表はあの時、2点リードを守れなかったか

読売新聞 / 2025年1月7日 10時0分

W杯ロシア大会決勝トーナメントのベルギー戦で先制ゴールを決め、ベンチの選手らと喜ぶ原口選手(2018年7月2日、ロシア・ロストフナドヌーで)

 サッカー・J1浦和レッズの原口元気選手が、読売新聞ポッドキャスト「ピッチサイド 日本サッカーここだけの話」に出演。番組MCの槙野智章さんとともに出場した2018年ワールドカップ(W杯)ロシア大会の決勝トーナメント・ベルギー戦で敗れた「ロストフの14秒」を振り返った。

「W杯に行けないかも」

 W杯ロシア大会は、アジア予選をハリルホジッチ氏、本大会を西野朗氏が指揮官を務めた。原口選手はアジア最終予選で代表史上初となる最終予選4試合連続ゴールを記録し、本大会では決勝トーナメント・ベルギー戦で先制点を決めた。

 ハリホジッチ監督の印象を問われた原口選手は「厳しいよね。こだわりも強い。これがいいと思うと曲げないよね」と回想。

 「まぁ頑固だし、自分のイメージがあるっていうのは間違いない。(ハリルホジッチ氏が目指したサッカーの)タイプ的に、はまったなとは思う」と続けた。

 同じく代表メンバーだった槙野さんは「日本人選手にリスペクトもしていたが、ダメなところをはっきりダメと言ってくる人だった。俺はすごく良かったなって思ってる」と振り返る。

 当時の日本代表は、2014年W杯ブラジル大会に出場した本田圭佑さんや岡崎慎司さん、現在はセレッソ大阪でプレーする香川真司選手らが攻撃陣の中心として存在感を示していた。

 原口選手は「すごくプレッシャーを感じてた。その中心選手たちがあまり調子が上がらなかった。正直に話すと、ワールドカップに行けないかもと思っていた」と素直に語る。

 ロシア大会のアジア最終予選は、初戦のUAEにまさかの敗戦。原口選手は自らチームを引っ張るという意識を持ったという。

 「彼らに頼っていたらワールドカップに行けない。だから『俺が決めなきゃ』って自分に言い聞かせて、だからこそ、すごくプレッシャーがかかっていた」

監督解任劇からロシア大会へ

 初戦こそ敗れはしたが、その後の日本代表は安定感を取り戻し、最終予選は首位でロシア大会の切符を手にした。しかし、日本サッカー協会はロシア大会の2か月前にハリルホジッチ監督を突如、解任した。

 「びっくりしたよね」(原口選手)

 2018年に入ってからの親善試合の結果が振るわなかった。サッカー協会は技術委員長だった西野朗氏を後任監督に決めた。

 西野監督に交代してからのテストマッチ3試合は、最初の2試合は良いところなく敗れた。しかし、本大会直前のパラグアイ戦を4-2で勝利して、わずかに光明が差した。

 本大会の初戦は前回大会で惨敗したコロンビア代表。原口選手は先発メンバーとしてピッチに立った。

 「試合までの時間、ソワソワしちゃってさ。普通だったらさ、ゆっくりするじゃん。寝てらんなくて、ずっとソワソワしてベッドの間を歩いたり。やっぱワールドカップって、すごいなって思ってた」

 原口選手を勇気づけたのは、古巣レッズのサポーターだった。

 「ウォーミングアップでピッチに入っていくじゃん。そこで浦和のファンが横断幕を出してくれてて。それを見た瞬間に、フッと力が抜けて楽しみに変わった。その瞬間をめちゃくちゃ覚えてる」

「勝ったと思ったよ」

 日本不利の下馬評を覆し、1次リーグは1勝1敗1分けで2大会ぶりの決勝トーナメント進出を決めた。決勝トーナメント1回戦の相手は、当時世界ランキング3位のベルギー。前半を0-0で折り返すと、後半開始直後、スルーパスから抜け出した原口選手が先制ゴールを突き刺した。

 「夢かと思ったよね、本当に。映像を見たら分かると思うんだけど、一瞬びっくりしてるんだよね。『入っちゃった』みたいな。ワールドカップで点取るっていうのが達成できたし、相手はベルギーだし、一瞬頭が真っ白になった」

 その後、乾貴士選手(現・清水エスパルス)のゴールで2-0。

 「勝ってればね、本当に素敵な思い出になったと思うんだけど。今、時間が経ったからこそ思うけど、かなりいろんなものが詰まってたゴールだなとは思う」

 この試合をベンチから見守った槙野さんは「(2-0になったとき)正直、勝てるだろうなと、次の対戦相手のこと考えて準備してました」と振り返る。

 原口選手も「勝ったと思ったよ。2‐0になった瞬間は思ったじゃん、次、ブラジルだ。しかも、(試合会場は)自分たちのキャンプ地(ロシアのカザン)で最高じゃん、みたいな。思ったよ(笑)」と率直に語る。

 ただ、ベルギーが1点を返し、雰囲気が暗転。さらに同点ゴールを決められた。

 同点の瞬間、ピッチの選手たちの意識は統一されていたのだろうか?

 「されてないよね。プランニングしてない。そもそも2点リードするのをプランニングしてない。やっぱ経験不足だよね」

 同点で残りが約15分。点を取りに行くべきだったか、守って延長戦を狙うべきだったか。

 後半ロスタイム。日本代表は自分たちのコーナーキックからベルギーにカウンターを仕掛けられ、逆転ゴールを許した「ロストフの14秒」。

 「あの大会を通して西野さんがずっと言ってた。何か迷ったら、強気な選択をしてくれって。それを最後までしたからさ。結果的にカウンターでやられたけど。でも、日本代表として正しい選択だったんじゃないかと思う。(1次リーグの)ポーランド戦で(時間稼ぎをする)やりたくない決断をして、決勝トーナメントに進むことになったけど、それも踏まえて自分たちが強気な判断・決断をしていこうという試合だったから。それでまた時間稼ぎをして延長に入ってどうにかするより、あそこでゴールを狙いにいく選択は、あの大会を象徴しているシーンかなって思うかな」

プロフィル

原口元気(はらぐち・げんき)

浦和レッズのジュニアユースから、2008年にトップ登録。ナビスコカップ・名古屋グランパス戦で公式戦デビュー。09年にプロ契約。14年にドイツ・ブンデスリーガのヘルタ・ベルリンに移籍。ハノーバー、ウニオン・ベルリンなどでプレーし、日本代表にも定着。代表通算74試合出場、11ゴール。24年9月に浦和レッズに復帰した。1991年生まれ、埼玉県出身。

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