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石破首相が「令和の日本列島改造」表明、地方創生で東京一極集中打破…「大連立」には慎重姿勢

読売新聞 / 2025年1月6日 20時57分

伊勢神宮参拝を終え、年頭記者会見に臨む石破首相(6日午後、三重県伊勢市で)=伊藤紘二撮影

 石破首相は6日、三重県伊勢市で年頭記者会見に臨み、地方創生を通じて東京一極集中を打破する「令和の日本列島改造」構想を表明した。政府機関の地方移転を推し進め、政府の職員が都市と地方の2拠点で活動する制度を新設する。少数与党として、野党の協力を得ながら政策実現を目指す考えを示しつつ、野党と政権を組む「大連立」には慎重姿勢をにじませた。

 首相は、自身が政治の師と仰ぐ田中角栄元首相が高度経済成長期に唱えた日本列島改造論と対比させる形で、人口減少時代に合わせた「令和の日本列島改造」の必要性を訴えた。「成功させなければ日本に将来はない、との危機感を強く持って列島改造を進める」と語り、多様性のある社会の実現に向け、地方創生に取り組む決意を示した。

 政府機関の移転は、2026年度中に創設する「防災庁」を含め、地方から提案を募った上で順次進めるとした。民間企業の本社機能移転を後押しする環境整備にも注力する。地方人口を増やすため、移住と観光の中間の「関係人口」に着目し、国の若手職員が週末は地方で過ごすなど、2拠点で活動できるよう支援する制度新設も打ち出した。

 自民、公明両党が少数与党となって初めて迎える24日召集の通常国会では、政治とカネの問題を踏まえた企業・団体献金の禁止について与野党が議論し、3月末までに結論を出すことになっている。首相は、「問題の本質は民主主義のコストを誰が負担するかだ。与野党の枠を超えて議論を深めたい」と述べた。

 政府が通常国会に提出する年金改革関連法案に関しても、「社会保障制度は責任を持って次の世代に引き継がなければならない」と野党の理解を求めた。幅広い民意が政治に反映されるよう、選挙制度の将来的な見直しを念頭に、「党派を超えた検証が必要だ」との認識も示した。

 一方、政権運営を安定させるための野党との大連立は「今の時点で考えていない」と述べた。「自民党は、現在と次の世代の国民に責任を持つ『責任与党』でなければならない」とも語り、比較第1党として与野党協議を主導しながら政策実現を進める考えを強調した。

 石破首相の6日の年頭記者会見要旨は次の通り。

 【政権運営】少数与党となったが自民党は公明党とともに国民に対して責任を持つ責任与党でなければならない。合意形成を図るため野党にもこれまで以上に責任を共有していただくことが求められる。

 今の時点で(野党との)大連立を考えているわけではない。衆院解散については(内閣不信任決議案が可決され)衆院の意思と内閣の考えが違った時に主権者の判断をいただくことは憲政の常道だと述べたにすぎない。

 【政治改革】企業・団体献金禁止法案は年度末に向けて真摯(しんし)に議論し、成案が得られるよう努める。

 【地方創生】「令和の日本列島改造」と位置づけ強力に進める。防災庁も含めて政府機関の地方移転を推進する。新たな人の流れを生み出すべく、まずは国の若手職員による2拠点活動を支援する制度を新設する。

 【社会保障制度】特に長期にわたり運営する年金制度は与党も野党もなく合意を探ることが求められる。年金制度改革案から各党の建設的議論が行われることを切に期待する。

 【日米関係】トランプ次期大統領との会談は最もふさわしい時期に、ふさわしい形で実現するよう調整している。

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