長崎ご当地アイドル「ミルクセーキ」、等身大の平和伝える使命…「笑えるのは当たり前じゃない」
読売新聞 / 2025年1月7日 14時39分
長崎のご当地アイドルグループ「MilkShake(ミルクセーキ)」は、平和への思いを歌にのせて全国に発信し続けている。メンバーらは「長崎で活動するアイドルだからこそ伝えなければ」と使命感を抱く。
「手をつなごうよ そしたら世界はきっと変わるから――」。昨年12月上旬、長崎市内で行われたライブ。曲のサビになると、メンバーがステージ上で横一列になって手をつなぎ、ステップを踏みながら歌声を響かせた。
ミルクセーキは2013年に誕生。「DEJIMAらぷそでぃ」など地元にちなんだ曲が多く、ライブのアンコールのかけ声はもちろん、長崎くんちの「モッテコーイ」だ。
九州や東京、大阪など各地でライブを行い、台湾や韓国での活動経験もある。昨年12月中旬に新メンバーが1人加入し、現在は20歳前後の女性4人で構成する。
デビューから間もない14年に発表した曲「手をつなごう」は、忘れ去られようとする戦争の記憶や平和の大切さを呼びかける。メンバーが入れ替わっても歌い継いできた大切な曲だ。
曲が生まれた背景には、作詞を担当したミルクセーキのプロデューサー、林田静さん(50)の、平和に対する強い思いがある。
「原爆や核兵器と聞いても、どこか別世界のように感じる人が多いのではないか」と考え、歌詞にはあえて難しい言葉を入れていない。相手を思いやること、家族や友達を大切にすることなど、「等身大の平和」が伝わるよう仕上げた。
メンバーの星奈みづきさん(22)は、自身が担当する「1度はなにもなくなってしまったこの街から 私たちが伝えなくちゃ 手をつながなくちゃ」という歌詞が印象的だという。「色んなアイドルがいる中で、長崎発のグループを選んだから歌える曲。大事にしていきたい」と話す。
佐倉あさみさん(19)は佐賀県出身。長崎に住むようになって平和への意識の高さに触れ、「みんなで活動できて、笑えるのは当たり前じゃない」と感じるようになった。「平和の尊さを長崎県外の人にも知ってほしい」と語る。
メンバーや林田さんの思いは、ファンにも届いている。ライブのために毎月長崎を訪れる福岡県の男性(60歳代)は「『長崎』や『原爆』という直接的な言葉を使わず、シンプルな歌詞で普遍的なことを伝えてくれる」と曲の魅力を語る。コロナ禍の前は、ファン同士でも手をつなぐ場面が見られた。
毎年8月は「手をつなごう月間」で、曲を歌う機会を増やしている。今年は被爆80年。メンバーの香月ちはるさん(17)は「自分たちも日々学びながら、アイドル活動を通じて平和の大切さを伝えていけたらいい」と意欲を語る。
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