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岩手・一関で味わう「縁起物」、カレイの煮付けはまろやかで絶品です

読売新聞 / 2025年1月10日 9時27分

 岩手県南部と宮城県にまたがる地域は、伊達政宗が築いた伊達藩の領地だった。この地域の年末年始の定番料理が「ナメタガレイの煮付け」だ。岩手県一関市、旧千厩町にある和食料理店「季節料理 すい舎」を訪ねた。

 農林水産省によると、ナメタガレイは冬に子持ちが増え、卵が金色であることから子孫繁栄や商売繁盛を願う縁起の良い魚として知られる。

隠し味にたまりじょうゆ

 年の暮れが近づくと、岩手県南部のスーパーの鮮魚売り場では、客の予約が相次ぐことになる。そこで、店では漁港にナメタガレイの入荷がない場合、「鮮魚の日替わり定食」(1100円)として、カレイの煮付けを不定期に提供している。

 カレイの身は、臭みを消す湯引きの後、早朝から煮込まれ、しょうゆとみりん、砂糖と隠し味に岐阜県産のたまりじょうゆを少々入れた味付けがされている。口に入れると、想像以上に薄味でまろやかさを感じる。

こちらもオススメ…ヤガラの刺し身

 イトヒキアジやソウダガツオなど、その日の港で目をつけた「世にあまり出ない」掘り出し物の魚の刺し身や卵焼き、漬物の小皿が数点つく。この日の刺し身は、白身で肉厚な歯ごたえが特徴のヤガラ。脂身が少なく淡泊だが、かみ続けると甘みが出て、くせになるおいしさだ。思わず別皿の刺し身(600円)を追加注文した。

 店主の及川尊文さん(40)は東京で修業後、2018年7月に妻の実家がある岩手に移住した。過疎化が進み、集客が難しい地域。新型コロナの影響で、客足は全盛期の1割に減り、なかなか元に戻らないという。

 それでも一念発起し、昨秋からランチを再開した。「地域の盛り上がりを願って、前を向いていたい」。その毅然(きぜん)とした表情に伝統の伊達藩の食文化を継承しようという気概を感じた。

 ※税込み。記事中の値段などは紙面掲載時のものです。

 国内外の総支局長が、日頃通っている店のおすすめメニューなど、地域の自慢の味を紹介します。

季節料理 すい舎

 岩手県一関市千厩町千厩字町198

 日曜定休(イベントなどで日曜営業の場合は翌月曜休み)。

 お取り寄せは行っていません。

 詳しくはウェブサイトで。

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