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特殊詐欺が警察の電話番号から…足立区の30代女性が1900万円の被害

読売新聞 / 2025年1月7日 15時30分

 警察署などの電話番号を通話相手の端末に表示させ、警察官からの電話と信じ込ませて現金を要求する詐欺電話が各地で起きている。実際とは違う電話番号になりすます「スプーフィング」と呼ばれる手口で、警察当局は国際電話を使う海外のアプリが悪用されているとみている。

県警と一致

 「岡山県警のものです」

 昨年7月、東京都足立区の30歳代女性のスマートフォンに電話をかけてきた男は、警察官を名乗り「あなたにはキャッシュカードを他人に渡した疑いがかけられている」と切り出した。

 「容疑を晴らすには保釈保証金を支払う必要がある」。警視庁幹部によると、女性はそう聞いて詐欺を疑った。だが「電話番号が実在するか確かめて」と言われ、検索したところ末尾が「0110」で岡山県警本部の番号と一致したため、本物の警察官と信じたという。

 女性は男の指示に従い、3回にわたって計約1900万円を振り込んだ。その後、男から「スマホの初期化」を指示されておかしいと思い、警視庁に相談した。男の電話番号は、米国からの発信を示す「+1」から始まっていた。

スプーフィング

 英語で「なりすまし」を意味するスプーフィング。実際とは異なる発信番号を表示させるこの手法を用いた特殊詐欺は2000年代前半、静岡県、岡山県、大阪府などで確認された。

 詐欺グループは、発信者が着信画面に番号を表示させる信号情報を改ざんしているとみられている。国内の通信会社でつくる「電気通信事業者協会」(東京)は05年、発信側の信号情報に不審点がある場合、着信画面に「非通知」と表示させる技術などの対策をまとめ、通信各社に周知した。

 これを受け、被害は一時収束したが、2年ほど前から再び被害が出始めた。23年5月には佐賀県の70歳代女性が、北海道の警察署の番号からの電話で200万円を要求される事件が発生。昨年3月には福岡県の20歳代男性が高知県警本部の番号から電話を受け、逮捕を免れる「保釈保証金」の名目で約800万円をだまし取られる被害があった。

「コロナ」以降

 悪用されているとみられるのが海外のアプリだ。

 情報セキュリティーに詳しい神戸大の森井昌克名誉教授(情報通信工学)によると、欧米ではコロナ禍以降、テレワーク中に自宅の電話番号を知られたくない人向けに、着信画面に任意の番号を表示させるアプリの利用が広がった。

 それに伴い、米国では警察署や連邦捜査局(FBI)の番号を表示させる詐欺電話が相次いだ。23年4月には、在ニューヨーク日本総領事館も在留邦人に注意を呼びかけた。

 アプリは日本からでも利用できる。海外の通信会社の回線を使うため、番号非通知の着信拒否など国内の対策が効かない場合があるという。警視庁幹部は、「警察や官公庁の番号でも、不審と思ったら電話を切って警察に相談するなど冷静に対応してほしい」と話す。

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