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田田田堂の西田さん「山田錦は膨らみやすく、意外と製菓に向いている」…ケーキやパン開発

読売新聞 / 2025年1月8日 14時2分

ショーケースに並ぶ米粉を使ったケーキ

 兵庫県発祥で「酒米の王様」と呼ばれる品種「山田錦」をPRしようと、洋菓子などを販売している田田田堂(神戸市東灘区)が、山田錦をつかったケーキやパンを販売している。オーナーの西田智祐さん(44)は「農家が抱く山田錦の伝統への誇りを大事につないでいきたい」と話している。(辻井花歩)

 店には、山田錦の米粉を使ったタルト、パン、焼き菓子などがそろう。抗菌作用が高い蜂蜜「マヌカハニー」などを輸入・販売してきた会社「ハニーマザー」が2022年につくったブランドで、23年4月に東灘区に店をオープンさせた。

 西田さんによると、長女が牛乳などの乳製品や小麦のアレルギー体質だったことをきっかけに、商品開発はスタートしたという。

 約10年前から妻・晴美さん(45)が中心となって小麦など7大アレルゲンや食品添加物、動物性食品を一切使わない菓子を製造してきた。当初は通常の米粉を使っていたが、コロナ禍で日本酒の消費量が減り、酒米が売れずに困っていると知人に聞き、酒米をつかったスイーツ作りに着手した。

 約600キロの酒米を前に「本当に使い切れるのか」との懸念もあったが、反響は大きく、仕入れ量は年々増加。今年は多可町、加東市、たつの市の農家から計9トン以上を買う。西田さんは「通常の米粉と違い、山田錦は膨らみやすく、意外と製菓に向いている」と話す。

 米の消費量、生産量が減少するなか、米の楽しみ方が広がれば、後継者不足や耕作放棄地の解消にもつながる。有機栽培の田んぼを増やすなど稲作を支援するほか、オーガニック素材にこだわり、規格外の米を通常よりも高値で買い取るなど、サステナブル(持続可能)な取り組みも進めている。

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