不足する自衛官 有為な人材確保へ規律を正せ
読売新聞 / 2025年1月11日 5時0分
日本周辺の安全保障環境が悪化し、大規模な災害も多発している現状を踏まえれば、自衛官のなり手不足を解消することは急務と言える。
自衛官の定員割れは深刻だ。約24万7000人の定員に対し、実際の人数は常に2万人前後下回っている。
こうした状況を改善するため、政府は、自衛官の確保に向けた基本方針をまとめた。
自衛隊には、最初から任官される自衛官のほか、一部に教育訓練を経てから任官される自衛官候補生の制度がある。基本方針はこの候補生制度を廃止し、当初から任期を限った自衛官として採用する制度に改めることを明記した。
自衛官候補生の初任給は最近まで15万7100円で、警視庁の警察官(19万3400円)などと比べると見劣りするため、自衛官採用の
また、航空管制や野外演習などの手当を新設する。さらに隊舎内の居室の個室化を進め、主な艦艇ではSNSを使えるようにするという。生活・勤務環境の改善を求める声に応える狙いがある。
近年、自衛隊の役割は拡大する一方だ。中露や北朝鮮の脅威が高まり、空海域での警戒監視の任務は大幅に増えた。また、災害時には人命救助に限らず、がれきの撤去なども手掛けている。感染した家畜の殺処分も担っている。
国民の生命・財産を守るため、多様な任務をこなしている自衛官の処遇を改善するのは当然だ。有為な人材を確保し、任務の遂行に支障が生じないようにしたい。
なり手不足の背景には退職後の生活不安もあるのではないか。
自衛官の定年は一部の幹部を除き、働き盛りの55~56歳だ。一般企業に比べて早くにリタイアしてもらうのは、自衛隊の精強さを保つためだが、最近は体力のある中高年も増えている。定年の大幅な引き上げは検討課題となろう。
政府を挙げて、各業界や経済団体に幅広く退職自衛官の再就職を働きかけることも大切だ。自衛官の中には特殊車両や操縦士などの免許を持っている人もいる。そうした技能や知見は、物流や航空などの分野で生かせるだろう。
もっとも、いくら処遇を改善しても自衛隊の組織風土が堕落していたら、人は集まるまい。ハラスメントや手当の不正受給、機密情報の不適切な取り扱いといった不祥事を一掃し、規律ある組織へと改めていくことが不可欠だ。
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