沖縄県の米事務所、開設当時の県幹部ら「株式会社」知らず…委託業者に「丸投げ」で確認怠る
読売新聞 / 2025年1月11日 7時54分
沖縄県が米ワシントン事務所を運営するため営業実態のない株式会社を設立していた問題で、2015年の開設当時の県担当幹部と現地駐在の事務所長が、いずれも法人形態を「株式会社」と認識していなかったことがわかった。県は昨年10月に県議会の指摘で把握。駐在職員の「兼職状態」や経営状況の未報告といった違法状態が約9年間も見過ごされた要因になったとみられる。県議会多数派の自民党会派は、ずさんな行政運営の実態解明に向けて追及を強める構えだ。(横山潤)
昨秋に認識
「株式会社と認識したのは、10月に県幹部から説明を受けてから」。開設当時、事務所を所管する統括監を務めていた池田
事務所は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設反対などを米側に伝える目的で開設された。当初は、米政府から「政治的だ」との理由で非課税事業者としての登録に難色を示された。そのため、駐在職員に企業の転勤者向けに発給される「L」ビザを取得させる方策として、県全額出資の株式会社の形態をとった。
しかし、この実態は本庁内で共有されず、必要な手続きが一切取られていなかった。「駐在職員から(本庁に対し)何らかの確認があってしかるべきだった」。同月13日の県議会常任委員会で
気づく機会も
事務所の設置を巡り、県は現地弁護士の助言を含めた対応を米コンサルティング業者「ワシントンコア」社に業務委託した。実質的な「丸投げ」状態で、会社設立も業者側が主導したと説明する。
県は、会社設立に関する書類に初代所長を務めた元在沖縄米総領事館職員・
実際に、平安山氏ら事務所側は本庁の県幹部に提出した報告書にも株式会社と記載しなかった。一方で、業者側と法人登記や約款作成、Lビザ取得などの手続きを済ませたことは伝えていた。平安山氏は「事務所を設置した本庁が主体的に情報収集し、業者に直接確認するのが筋だ」と反論する。
開設後も会社の設立を確認できる機会は幾度かあった。県によると、数年前に事務所のウェブサイトを作成した職員は、事務所が株式会社と認識したものの、「設立時に適切に処理されているだろう」と考え、問題視しなかったという。
急ごしらえ
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平安山氏らによると、当初の駐在2人は商用の「B―1」ビザで入国。ただ、同ビザは長期滞在のために更新を繰り返すと、入国拒否になるケースがあるとの情報を米側から得た。
Lビザを取得するには会社を設立する必要がある。現地の弁護士からは米国の外部監査対策として、口座の預金残高や出入金記録などで適正な運営実態を示すよう指導されたという。事務所は、本庁から業者に振り込まれた委託費約2000万円の一部を、法人(会社)口座に移動させるよう業者に依頼したことなどを本庁に報告していた。
こうした経緯から、業者主導の株式会社設立を認識する機会は事務所側にも本庁側にもあったが、いずれも業者に確認しなかったとみられる。読売新聞は昨年12月中旬、業者にウェブサイトを通じて一連の問題への見解を尋ねたが、今月10日までに回答はなかった。
県議会は地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委員会)を設置しており、設立経緯の調査を進める。翁長氏の後継の玉城デニー知事は事務所を存続させる意向だが、結果次第で廃止を求める声が高まる可能性がある。
責任の所在、明確化を
地方自治に詳しい吉田勉・常磐大教授(行政法)の話「庁内で意思決定が明確になされていないことは大きな問題で、県執行部が『知らない』で済む話ではない。県にとって重要な事務所であるからこそ、やるべき手続きを丁寧に行うべきだった。県が存続を目指すのであれば、責任の所在を明確にすることが必要だ。百条委などを通じて原因を究明することは議会側の責務でもある」
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