参院選挙「刺さるキャッチフレーズ」探る、各党が国民民主の躍進意識…首相は「楽しい日本」言及
読売新聞 / 2025年1月13日 12時57分
与野党が、夏の参院選に向け、重点政策を訴える選挙向けのキャッチフレーズの検討を始めている。各党とも昨年10月の衆院選で「手取りを増やす。」を掲げた国民民主党が躍進したことを意識しており、惨敗した自民党は選挙で有権者により響く「看板」を新たに模索している。
「列島改造」再び
「『楽しいよね。ここにいると』というワクワク感を作っていきたい。それが令和の地方創生だ」
石破首相は12日放送のBS番組でこう語った。首相は年末年始から「楽しい日本」とする目標にたびたび言及し、地方活性化の重要性を訴えている。この言葉は、作家の堺屋太一氏が戦後の「豊かな日本」に次ぐ目標として唱えたものだ。
6日の年頭記者会見では、「政治の師」と仰ぐ田中角栄元首相のスローガンを意識し、地方創生により東京一極集中を打破する「令和の日本列島改造」構想を表明した。政権の新たな看板作りに向けた一環で、首相周辺は「若い世代に響くような新たなフレーズが必要だ」と語る。
自民は衆院選で、派閥の政治資金問題を背景に「ルールを守る」などのスローガンを掲げたが、惨敗に終わった。選挙対策委員会の関係者は「有権者に響く選挙向けの政策がなかった」との反省を口にする。従来は政調主導だった政策作りに選対委員会が関与し、キャッチフレーズを練り上げる案も出ている。
働く世代に照準
一方、衆院選で躍進した国民民主は引き続き「手取りを増やす」との路線で、1990年代半ば~2000年代前半の不況期に社会に出た「就職氷河期世代」を中心に、働く世代に照準を定める方向だ。非正規労働者の正規雇用化の推進、社会保険料負担軽減などを重点に訴える。
日本維新の会は、社会保険料の引き下げや医療・年金制度改革に力点を置く。吉村代表(大阪府知事)は9日、記者団に「(参院選では)社会保障制度改革は一丁目一番地にしていきたい」と強調した。国民の関心の高い社会保障に関する改革姿勢をアピールする打ち出しを検討している。
独自性発揮に腐心
立憲民主党は、先の衆院選では自民が抱える「政治とカネ」の問題を最大の争点に据え、「政権交代こそ、最大の政治改革。」を訴えて議席を増やした。
ただ、独自の政策的打ち出しには腐心している。野田代表は10日の記者会見で、キャッチフレーズについて「通常国会の審議の中で争点化されてくる」と述べるにとどめた。野党連携の要とのイメージを持たせつつ、独自性も発揮できるような言葉を選ぶ方針だ。
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