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日銀政策検証 効果と限界を見極めて教訓に

読売新聞 / 2025年1月13日 5時0分

 日本は、先進国で例がない長期のデフレや経済の低迷に苦しんできた。日本銀行が取り組んできた金融緩和策の効果と限界を検証した結果を、政策運営に生かすことが大切だ。

 日銀は過去25年間の金融政策の効果を検証する「多角的レビュー」を公表した。2023年4月に就任した植田和男総裁が作成を指示し、外部の有識者を含め、幅広い意見を聞きながらまとめた。

 日本経済は、金融機関の不良債権問題が深刻化した1990年代後半に、物価が持続的に下落するデフレに陥った。日銀は99年にゼロ金利政策、2001年には量的緩和策と、相次いで異例の政策を導入し、景気を支えた。

 主要先進国の中では特異な経験を重ねてきただけに、政策の評価を整理しておく意義は大きい。

 注目されたのは、黒田東彦前総裁が、2年程度で2%の物価安定目標を達成するとして、13年春に導入した「異次元」の金融緩和策への評価である。

 レビューは国債市場の機能不全を招いたことなどの副作用を指摘した。その上で、経済や物価を一定程度押し上げ、デフレではない状態となることに貢献したとし、全体としてみれば「プラスの影響をもたらした」と総括した。

 ただし、「導入当初に想定したほどの効果は発揮しなかった」と政策の限界も認めた。おおむね妥当な評価であろう。

 レビューで物足りないのは、金融政策と為替市場の関係が十分に掘り下げられていないことだ。

 金融政策は、物価の安定を図ることを目的とし、為替への対応は直接の政策目的にしていない。

 しかし、実際には政策金利の動向は、為替市場に大きな影響を与える。コロナ禍前までは、過度な円高が輸出競争力をそぐ問題が日本経済に重くのしかかり、日銀も配慮をしてきたはずだ。

 それが、現在は、デジタルやエネルギー分野で海外への支払いが膨らみ、巨額の貿易赤字や過度な円安、物価高を招いている。

 植田総裁が金融政策の正常化を進める上では、こうした課題への分析も深めていく必要がある。

 また、日銀が大規模に国債を買い入れ、長期金利を抑え込んだ結果、政府の財政規律の緩みを招いたとの批判も根強い。だが、この点も踏み込んだ評価を避けた。

 日銀にとって財政政策は管轄外との考え方はあるのだろう。それならば、政府側なども交えた別の枠組みの下で検証していくことも、有用になるのではないか。

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