トヨタ国内生産、東海から東北・九州に20万台ずつ移管へ…人口減でも300万台体制維持
読売新聞 / 2025年1月13日 5時0分
トヨタ自動車が、2030年をめどに国内生産体制の再編を計画していることがわかった。人口減少が見込まれる中でも、これまで堅持してきた年間生産300万台体制は守りつつ、現在は約220万台を生産する愛知県など東海地方から、東北と九州にそれぞれ20万台規模の生産を移す方向だ。若年層を中心とした人手不足や、南海トラフ地震など大規模災害への備えを強化するとともに、電気自動車(EV)など次世代車の生産増に対応する。
自動車は産業の裾野が広く、トヨタの生産体制は部品や素材のメーカーなどの取引先にも大きな影響を与える。東北と九州に生産が移管されれば、取引先を含めた新たな雇用や設備投資が見込まれ、地域経済の活性化につながりそうだ。
トヨタは国内に14の完成車工場を構え、ほとんどは豊田市や田原市など愛知県東部の三河地区に集中している。東北では子会社「トヨタ自動車東日本」の宮城・岩手両県の工場で、九州では子会社「トヨタ自動車九州」の福岡県の工場で、それぞれ年約40万台を生産する。トヨタ東日本では約7000人、トヨタ九州では約1万人の従業員が働く。
関係者によると、再編は30年頃に着手し、35年にかけて進める。東海の生産は180万台規模に減らし、東北と九州はともに現在の約1・5倍の60万台規模に増やす。現在は東海の部品メーカーから東北と九州に部品を送ることが多いが、再編に伴って現地での開発や調達を強化し、地域内で生産を完結できる体制を整える。東海で生産する車種を東北、九州で生産できるようにすることも検討する。
東北は小型車の拠点で、現在はトヨタ東日本の宮城大衡工場(宮城県大衡村)で小型スポーツ用多目的車(SUV)「ヤリスクロス」やミニバン「シエンタ」、岩手工場(岩手県金ヶ崎町)で小型車「ヤリス」「アクア」を生産する。トヨタ九州の宮田工場(福岡県宮若市)は高級車ブランド「レクサス」の拠点で、SUV「RX」、セダン「ES」を生産する。移管される年間20万台は自動車工場のライン1~2本分に相当する。
東海は再編で生産台数が減るものの、次世代EVや電池といった先端技術の中核としての役割を強化する。生産移管で余裕が出た人員を、新技術の開発や導入に回し、30年に世界で350万台のEVを販売する計画を支える。元町工場(愛知県豊田市)などの老朽化した工場も刷新する。
トヨタはEVの市場動向や開発状況を踏まえて、再編の規模を最終決定する。
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