愛子さまの「小粒パール」に見る気品と若々しさ、春を感じる若草色のドレス…皇室に学ぶ令和の「正装」
読売新聞 / 2025年1月16日 15時5分
令和の正装<1>
ファッションが自由で多様になった現代でも、プロトコル(国際儀礼)やドレスコードは失われたわけではない。令和の「正装」を紹介しながら、今あらためてフォーマルな装いの伝統と意味を考える。
新年の装い
天皇、皇后両陛下が国民から新しい年の祝賀を受ける「新年一般参賀」。2025年も1月2日、両陛下と皇族方は皇居・宮殿のベランダに立ち、東庭に集まった人々へ手を振られた。両陛下の長女愛子さまは淡い若草色のドレス姿。素材は冬向けに暖かめでも色合いは春を感じさせるこの時期の服を
「草花を抽象化したような模様が生地に凹凸で織り出され、あたたかみがありつつ上品な印象を生み出しています。明るい若草色から新年を
生地に凹凸をつけて模様を織り出す「ふくれ織り」は、色柄のくっきりした模様と比べて品が良い。襟元に見られる波形は、スカラップ(ほたて貝)に似ていることから「スカラップド・ネックライン」と呼ばれる。波形はドレスの袖口にも見られ、さりげない華やかさを添えている。
明るい若草色は、2022年3月に行われた初めての記者会見で着用されたドレスも近い色合いだった。「お肌になじみ、お好みの色なのかもしれませんね」と青木さん。
ベランダでは裾丈まで見えないが、一般参賀での女性皇族方の装いは「お
日本で晴れ着といえば着物を意味することが多く、若い世代の女性なら「振り袖」となる。2024年10月に行われた秋の園遊会に、愛子さまはピンク色の振り袖姿で参加された。百花
今回の愛子さまの装いで青木さんが注目したのがアクセサリー。上品なパールは正装にふさわしい格を持つ。小粒のパールを組みひも細工のようにつないだネックレス、小さなパールを二つ組み合わせたイヤリングと、デザイン性は高かった。儀式などで着用されることが多い一連タイプのネックレスではないところに「若々しいイメージを大切になさっていると感じました」と青木さんは話す。
このネックレスは、愛子さまが2024年春の園遊会で身につけられたものによく似ている。淡いピンク色のジャケットの襟元を飾っていたパールだ。皇后雅子さまのドレスも、2023年の「歌会始の儀」や2015年のトンガ国王の
日ごろカジュアルなファッションにばかり親しんでいると、きちんとした装いはハードルが高いと感じてしまう。ファッションジャーナリストの宮田理江さんは「パールを用いるだけで上品な雰囲気が生まれます。小さなアクセサリーから取り入れてみては」と提案する。
パールは粒が小さいと上品、清楚、エレガントなイメージ。大粒は豪華でリッチ、ゴージャスな印象になり、華やぎもひときわだが強いパワーを感じさせる。「慣れない人は小粒のほうが試しやすい。主張や癖が強すぎず、手持ちの服にも自然になじみます」
一連ネックレスは上品でクラシックな雰囲気を醸し出す。長めになるほど立体感と存在感が強まるため、扱いなれないうちは注意したい。丸襟の内側に沿うような短いものは、服と一体化して落ち着いて見える。
愛子さまが新年一般参賀で着用されたパールネックレスは粒が小さく、首にぴったりと巻くようなデザインだった。「気品と華やぎの好バランスが印象的でした」
一方、雅子さまはパールのブローチをローブモンタントの襟元に用いられていた。襟が高く、胸元にレースもあしらわれているこのようなドレスはネックレスを組み合わせるのは難易度が高いが、ブローチは付ける位置を選ばない。宮田さんは「高めのポジションなら顔周りをパッと華やかに見せてくれる効果も期待できますよ」と話す。
(読売新聞東京本社生活部 梶彩夏)
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