浅野忠信さん「ハリソン・フォードではなく僕の名前が出て感動」…ゴールデン・グローブ賞帰国会見

ハリウッド時代劇「ＳＨＯＧＵＮ　将軍」でゴールデン・グローブ賞の助演男優賞を獲得し、記者会見でトロフィーを掲げる浅野忠信さん（１３日、東京都内で）＝田中秀敏撮影

　ハリウッド時代劇「ＳＨＯＧＵＮ　将軍」で、米ゴールデン・グローブ賞テレビ部門の助演男優賞を受賞した浅野忠信さん（５１）が１３日、東京都内で記者会見を開いた。本作以前、英語で思い通り演技ができず「限界を感じ、これ以上米国の作品でできることはないと思っていた」と明かし、この賞を取れた勝因の一つが、日本語で演技ができたことだという見方を語った。

　「ＳＨＯＧＵＮ」は英国出身の作家による小説を原作とし、三船敏郎さんらが出演した１９８０年の米ドラマのリメイク版で、米ディズニー傘下のＦＸが制作した。浅野さんは、真田広之さん（６４）演じる武将の配下、薮重をひょうひょうと演じた。

　「悪役が、自分を悪役だと思ってないことが面白い」というのが、これまで数々の悪役をこなしてきての持論。今回も裏切りを繰り返す役だが、「薮重も自分のことを悪い人間だと全く思っていない。愛すべき人間だし、自分のアイデアは正しく、自分の振る舞いは全てをうまくいかせるための行動だと思っている。動物的に、素直に生きている」ととらえた。その上で「周りの人たちも悪いが、それを秘め、薮重のように素直に出さない。薮重は縛られることがないから、演じやすく楽しかった」と手応えを語った。

　今回の記者会見は、「ＳＨＯＧＵＮ」が、ゴールデン・グローブ賞で助演男優賞に加え、作品賞、主演男優賞、主演女優賞の４冠を達成したことを記念して開かれた。昨年発表されたエミー賞でも助演男優賞でノミネートされたが、作品賞や真田さんの主演男優賞など１８部門を席巻する中、受賞を逃し、「悔しくてふてくされ、毎日文句を言っていた」と明かす。ゴールデン・グローブ賞の授賞式も別の撮影があったため当初は欠席するつもりだった。

　都合がついたため出席し、受賞の瞬間には「今までにないくらい喜び」を感じ、真田さんに「来て良かっただろ」と声をかけられたという。ハリソン・フォードさんら同じ助演男優賞にノミネートされたスターの顔を見て「この人たちでなく、僕の名前が出たのには感動した」と会場を笑わせた。

　真田さんとは、１９歳で初めて映画「新宿鮫」で共演。「まだ僕のことを誰も知らない時だったが、リハーサル段階から話に耳を傾けてくれ、僕が挑戦したいことをやらせてくれ、アクションのことも教えてくれた」。その後、ハリウッド映画での共演もあり、２人で大きなことを成し遂げようという思いで撮影に臨んだ。

　今回の受賞を経て、「僕が頑張ったことを、日本の業界で認めてもらっていないんじゃないかと思っていたが、この賞をもらえて、もうそういうこと考えなくていいんじゃないかな。誰かに届く届かないでなく、信じて貫いてきた自分の演技を続けていいんだと確証を得られた」と話した。

　「ＳＨＯＧＵＮ」は昨年２月に世界配信を開始し、最初の６日間で９００万回再生された。日本では動画配信サービス「ディズニープラス」の「スター」で独占配信されている。