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三菱自動車「アウトランダーPHVモデル」完成度が増した一部改良…EV航続距離が延び、乗り心地も向上

読売新聞 / 2025年2月7日 11時40分

タイヤはブリヂストンの「アレンザ ゼロゼロワン」。アウトランダー向けに開発されたモデルで、乗り心地や燃費向上に貢献しているという

 三菱自動車のスポーツ用多目的車(SUV)「アウトランダー プラグインハイブリッド(PHV)モデル」に試乗した。一部改良ながら、搭載電池を刷新して電気自動車(EV)走行時の航続距離(1回のフル充電で走行可能な距離)を延ばしたほか、サスペンション改良などにより安定した乗り心地を実現するなどして、昨年10月末から販売されている。

 まず外観だが、フロントグリルやバンパーのデザインをわずかに変更したほか、ボンネット部分の素材がアルミからスチール(鉄)に変更された。今回改良された「アウトランダーPHVモデル」は今春からヨーロッパ市場でも販売を開始し、その後オセアニア、北米などにも順次投入される予定だ。素材の変更は、日本より高速の走行が多い海外市場をにらんだものだ。

ボンネット素材はアルミから鉄に変更し、海外の高速走行にも対応

 鉄より軽いアルミを使うことで、車体重量が軽減されて燃費が向上する。本来、車体重量を減らすのはクルマづくりの基本的な考え方だ。だが、高速で走行するとエンジンルームに入る風の量が増える。改良前のアルミ素材の場合、風圧によりボンネットがバタつくケースがあったそうだ。素材変更とともにボンネットの開口部分も見直すことで改善している。

 また、フロントバンパーグリルに、速度やエンジンの状況により自動的に開閉するグリルシャッターを採用。合わせて床下アンダーカバーやリアバンパーの形状の見直しなどにより空力性能も向上。燃費が試乗グレードで1リッターあたり16・2から17・2キロ(WLTCモード)となっている。

電池容量は約10%増、最高出力や燃費も向上

 搭載電池も刷新された。まず電池容量が約10%増の22・7kWhとなったことでEV走行の航続距離が約20キロ延び、試乗グレードでは83キロから102キロとなっている。また最高出力も約20%向上させ、高速道路の合流時や追い越しの際、スムーズで力強い加速が可能になった。

 乗り心地については、サスペンションのチューニングを見直すととともに、ブリヂストンの新開発タイヤを採用。これにより路面からの振動やショックを軽減している。

 「アウトランダーPHVモデル」は2013年にSUVタイプのPHVとして世界で初めて発売された。これまで60か国以上で販売されて累計販売台数は約39万台(2024年末現在)に達している人気車種だ。

 人気の理由は前輪と後輪にそれぞれモーターを配置したツインモーターを採用し、安定した走行と力強い走りをともに楽しむことができる点などだ。三菱独自の車両運動統合制御四輪駆動(4WD)システム「S-AWC(スーパー・オールホイールコントロール)」が道路や走行状況に応じて、前後や左右のタイヤの駆動力やブレーキなどを制御している。

 七つの運転モードから選ぶことができ、エコやノーマルといった一般的なモードのほか、砂利道や未舗装、雪道、ぬかるみなどに対応している。これにより、どんな道路状況でも安定的な走行を可能にしている。

 実際に運転してみると、滑らかな発進やスムーズな加速に加え、高速走行でも安定し、フラットな乗り心地を楽しむことができた。

2種類のハイブリッド走行が可能で、緊急時の電源としても利用可能

 ハイブリッド(HV)はスプリット方式で、走行状況や電池残量などに応じてEV走行のほか、2種類のHV走行を行う。加速時や電池残量が少ないときには、エンジンで発電してモーターで走行(シリーズ式HVモード)、高速走行の時などにはエンジンで走行し、モーターがアシストする(パラレル式HVモード)に切り替わる。シリーズ式の代表的な車種が日産自動車「ノート」「セレナ」などで、「eパワー」という名称で知られている。パラレル式には軽自動車や小型輸入車などでも採用されているマイルドハイブリッドも含まれる。

 スプリット方式の代表は、なんといってもトヨタ自動車の「プリウス」だろう。「アウトランダーPHVモデル」もシリーズ式が可能なことで、緊急時や外出先などでは電源としても利用可能になるというメリットにつながっている。

 先進国を中心にEV販売の減速が目立つ中にあって、ガソリンでも走行できるPHVは販売台数を伸ばしている。「アウトランダーPHVモデル」の全面改良は2021年に行われていて、今回は3年目という短期間での大幅な一部改良である。この間に指摘されてきた課題を再点検し、より完成度が増した形で世界に販売することになる。このクルマは三菱自動車期待のクルマでもあるのだ。(デジタル編集部 松崎恵三)

【仕様・主要諸元】(試乗したグレード「Pエグゼクティブパッケージ(7人乗り)」の場合)
 ▼全長・全幅・全高(ミリ) 4720・1860・1750
 ▼総排気量(L) 2.359
 ▼燃費 WLTCモード(キロ/リットル) 17・2
 ▼価格 668・58万円(オプションは除く)

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