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「松・竹・梅の価格戦略がポイント、PBにも力入れていく」…味の素・藤江太郎社長

読売新聞 / 2025年1月15日 17時40分

インタビューに答える味の素の藤江社長(東京都中央区の本社で)=三輪洋子撮影

 味の素はギョーザなどの冷凍食品やスープ類が主力商品で、物価高が続く中でも業績が好調だ。付加価値を高めて収益拡大を目指す一方、プライベートブランド(PB)も充実させて、価格を重視する消費者の取り込みも狙う。藤江太郎社長に戦略や課題を聞いた。(聞き手・貝塚麟太郎)

付加価値高い製品は売れている

 ――事業環境と、力を入れる取り組みは。

 「全体として事業は好調だ。消費者の財布のひもはかなり固くなっているが、価格が高くても付加価値の高い製品は売れている。『松・竹・梅』の価格戦略がポイントで、価格の高い『松』の製品やサービスをうまく投入していく。2023年に『マーケティングデザインセンター』を設立し、顧客のデータを製品やサービスにうまく生かせるようになってきた。

 味の素は『竹』が中心の会社だ。『竹』と『梅』については、稼働率が十分でない製造ラインが一部ある。ナショナルブランド(NB)を中心に展開してきた方針を少し転換し、ラインに余裕がある製品ではPBなどにも力を入れていきたい。適度に稼働率が上がれば、安定生産にもつながる」

 ――業界の課題は。

 「『物流2024年問題』は、25年、26年はより厳しくなっていくだろう。メーカー同士で、共同物流にしっかり取り組んでいくことが求められる。伝票や受発注のデジタル化は、一定の規模があることが効率化につながる。(味の素やカゴメなどの)食品大手6社でつくる共同物流に参画する企業が10社になり、20社になれば、メリットはかなり出てくる」

ほぼ全ての原材料で複数購買化

 ――米国でトランプ次期政権が発足する。事業への影響は。

 「為替は思ったより動いていない。我々は日本から米国への輸出も、中国から米国への輸出も多くない。関税によって業績がすぐに変わることはないだろう。

 ただ、中期的な影響はしっかりと見込み、手を打っていかなければならない。中国から原料調達が難しくなるリスクも見込み、2カ国以上でサプライヤーを探す取り組みを始めた。ほぼ全ての原材料で複数購買化のめどが立った。

 一方で、追い風もあった。中国の小売り企業などからの引き合いが、味の素に来ている。

 ――中国との向き合い方はどう変わるか。

 「味の素は中国事業がうまくいっていなかったが、中国は必ず成長していく。中国企業は以前は業績が良かったので、秋波を送っても会ってくれないことが多かったが、最近は積極的に会ってくれる。今は種をしっかりとまくチャンスだ。中国から撤退する企業もあるが、しばらくそうした動きをするつもりはない」

――賃上げの考え方は。

 「5%にどれだけプラスアルファできるか、業績や世間相場などをもとに決めていく。食品業界の中ではトップ企業の一社とみていただいており、相場観を作っていく責任もある。賃上げしながら、値上げも認めていただいて、景気の好循環をしっかり実現していくと示していくことが大事だ」

◆藤江太郎氏(ふじえ・たろう) 1985年京大農卒、入社。中国食品事業部長やフィリピン、ブラジルの現地法人社長などを歴任し、海外での勤務経験が長い。2022年4月から社長。大阪府出身。

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