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「原料カカオ高騰、調達の範囲広げる」「海外売上高比率の引き上げが中長期的な課題」…明治ホールディングス・川村和夫社長

読売新聞 / 2025年1月15日 16時43分

インタビューに答える明治ホールディングスの川村社長(東京都中央区で)=野口哲司撮影

 世界各国で物価高が続き、2024年にはカカオ豆の高騰でチョコレートの値上げが相次いだ。明治ホールディングス(HD)の川村和夫社長に個人消費の動向や海外事業の戦略を聞いた。(聞き手・貝塚麟太郎)

攻めの経営に転じる年に

 ――事業環境は。

 「24年は実質賃金も回復しつつあり、(景気は)回復基調だった。25年は物価上昇を上回る賃上げが定着すれば、好調な外需に加えて、内需も力強さを増していくと期待している。攻めの経営に転じる年にしたい」

 ――24年はチョコレートの値上げが各社で続いた。

 「カカオ豆が高騰して数回、値上げしたが、販売数量に大きな影響は出ていない。カカオ成分を多く含んでいる『チョコレート効果』は値上げ幅も大きかったが、売り上げも堅調だ。チョコレートが生活に溶け込んでいるということだろう。

 (製品の)価格高騰がいつまで続くかは原材料の価格次第だ。調達が困難になり、ガーナなどでの生産量が非常に下がっており、回復には時間がかかる印象を持っている」

 ――原料調達の工夫は。

 「いかに調達の範囲を広げるかがポイントだ。南米や中米など、従来は主産地ではなかったところを開拓してきていたから、何とか調達できている。生産者支援も地道にやってきた。今後も調達先を広げ、安定生産に貢献できるかが重要だ」

 ――米国や中国の事業の先行きは。

 「海外売上高比率を引き上げていくことは中長期的な経営課題で、現時点で3割程度を目標にしている。短期的な環境変化に左右されず、粛々と進めていくことが大事だ。中国の景気減速は決して良い環境ではないが、菓子などの成長している事業もある。戦術的なメリハリをつけてマイナスを最小限にし、事業を拡大していくことが大事だ。

 現在、当社の食品事業で最大の市場は米国で、菓子事業は順調に成長してきている。海外では米国を中心にしっかり取り組んでいく。

 インド、スペイン、タイ、インドネシアには医薬品の子会社を持っている。世界的には医薬品の需要は強く、医薬品子会社は順調に事業を拡大できている」

M&A、常にチャンスをうかがう

 ――海外比率を伸ばすうえで、M&A(企業の合併・買収)への考え方は。

 「M&Aも常にチャンスをうかがい、ウォッチを続けている段階だ。必要があればいつでも行動を起こせるように対応を考えている」

 ――BtoB(企業間取引)事業を重点領域に掲げている。

 「生クリームやバター、脱脂粉乳などを製菓や製パンの業者に提供する事業が母体だ。収益性が高くないことが弱点だったが、市場は拡大している。例えば、コンビニエンスストアがスイーツを作るなど、新しいユーザーが増えてきている。

 BtoB事業の強化のため、これまでの素材レベルの取り組みから、共同開発など商品にもっと近いところでも提案などに取り組まなければならない。BtoC(消費者向け)の技術をBtoBに活用して売り上げを増やし、収益性を高めていく」

◆川村和夫氏(かわむら・かずお) 1976年早大法卒、明治乳業(現・明治)入社。2012年6月に明治社長、18年6月から明治ホールディングス社長。宮城県出身。

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