尹大統領の逮捕状、公捜庁などが警護庁と協議も進展なく…１５日早朝にも執行か

尹大統領＝ＡＰ

　【ソウル＝小池和樹】韓国の尹錫悦（ユンソンニョル）大統領の戒厳令宣布を巡り、内乱容疑などで捜査している高位公職者犯罪捜査庁（公捜庁）と警察は１４日、尹氏に対する逮捕状執行時の衝突を避けるため、大統領警護庁と協議を行った。具体的な進展はなく、聯合ニュースなど複数の韓国メディアは、合同捜査本部が１５日早朝にも逮捕状執行に踏み切るとの見通しを伝えている。

　協議では捜査本部が警護庁に対し、「安全で平和的な逮捕状執行のための協力」を要請した。同庁は「衝突を防ぐために最大限努力する」としつつ、「事前承認なしに（大統領公邸に）強制的に出入りすることは違法だ」とのコメントを発表。執行を阻止する従来通りの姿勢を示したとみられる。

　中央日報（電子版）などによると警察は１４日、捜査責任者を集めた会議を開くなど、逮捕状執行に向けた準備を着々と進めている。約１０００人の捜査員を動員する構えで、尹氏の捜索・逮捕、警護庁職員の制圧など担当分けを行ったという。

　また、警察が申請していた警護庁の金声勲（キムソンフン）次長に対する特殊公務執行妨害容疑での逮捕状は、裁判所が１３日に発付した。金氏は衝突も辞さない「強硬派」とされており、捜査本部は尹氏への逮捕状執行時に金氏の身柄拘束にも踏み切る可能性がある。

　一方、鄭鎮碩（チョンジンソク）大統領秘書室長は１４日、談話で「大統領に対する第三の場所での調査や（大統領公邸での）訪問調査などを検討できる」とし、逮捕状執行の回避を求めたが、尹氏の弁護団は提案について「考慮していない」と否定した。