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4月誕生の全国初の「恐竜学部」、国内外で発掘実習・最新技術も学び「災害や防災に応用できる」

読売新聞 / 2025年1月15日 16時45分

学部長に就任予定の西弘嗣教授

 福井県立大は、4月に開設する全国初の「恐竜学部」の概要を発表した。恐竜の化石が多数発掘される勝山市を拠点に、恐竜に関連した研究に従事し、最新技術に触れられるのが特徴だ。学生は発掘現場でのフィールドワークのほか、コンピューター断層撮影装置(CT)を用いた化石のスキャン、データ解析に取り組み、県立恐竜博物館(勝山市)とも密接に連携する。同大学は古生物学の習得だけでなく、野外調査やデジタル技術にも優れた人材を育て、土木や防災、情報技術(IT)の関連産業などに送り出したい考えだ。(荒田憲助)

◆野外調査やデジタル技術の人材育成

 「災害が頻発する日本で、実際に野外を歩いて地質を調査する自然科学の知識は重要だ。世界を支えるデジタル技術も合わせて習得するのに、恐竜研究がマッチしている」。恐竜学部開設を前に、学部長に就任予定の西弘嗣教授が9日に福井県庁で記者会見を開き、思いを語った。「日本の将来にとって必要な人材を育てていけたら理想だ」

 県立大は、「恐竜」を核に幅広い学問や技術を身に付けてもらう考えだ。

 学生は、1年次から勝山市内などの発掘現場での実習に出る。2年次には県外の現場で実習を重ねるなど段階的にレベルを上げ、3年次にはタイなど外国での発掘にも挑戦。現場で地層などを観察し、論理的に読み解く力を育む。

 最新技術にも触れる。CTスキャンなどで化石や地形をデータとして蓄積し、コンピューターグラフィックス(CG)などとして視覚的に表現するすべも学ぶ。

 西教授は「恐竜学部で身に付ける力は、災害現場の調査や防災分野、地質や測量など、恐竜以外にも応用できる」と強調。「県外から進学した若者が県内の企業や自治体で活躍してくれたら」と願う。

◆キャンパスは恐竜博物館の隣

 恐竜学部の教員の多くは恐竜博物館の研究員が兼任する予定だ。学生は博物館が手がける発掘調査や展示作業に参加し、授業で同館が保有する標本を活用できる。同館の本館3階には4月、「恐竜学部オープンラボ」を新設。学部の研究成果なども発信する。

 恐竜学部が入る県立大勝山キャンパスは恐竜博物館の隣に建設中だ。学生は永平寺キャンパス(永平寺町)で一般科目を学んだ後、2年次から勝山で恐竜を始めとする古生物や地質学、古環境学といった専門知識を深める。入学定員は30人。4年後の春から専門知識や技能を蓄えた人材が続々と巣立つ見込みだ。

 杉本知事は9日の定例記者会見で、「学部の開設で研究者も増えれば、研究の聖地となり、福井のブランド力を発揮できる。最新の知見を生かして恐竜ロボットを作るといった企業などが周辺に進出することも期待したい」と述べた。

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