1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

呉の人気者、ワニの「カイマン君」天国へ…43年暮らしてきた飼い主「これからもずっと相棒」

読売新聞 / 2025年1月15日 18時0分

テレビなどで人気者だったカイマン君(村林さん提供)

 広島県呉市東惣付町で長年、親しまれてきた雄のワニ「カイマン君」が昨年11月、死んだ。テレビで紹介されるなどし、人気者だった。43年間、一緒に暮らしてきた飼い主の解体業、村林順光さん(73)は「家族同然の関係を築いてきた。これからもずっと相棒だよ」と別れを惜しんだ。(柴山倫太朗)

 村林さんは幼少期から動物が好きで、ヤギやリクガメなど様々な動物を飼育してきた。43年前、呉市のペットショップで、水槽に入れられていたカイマン君と出会った。メキシコやアルゼンチンなど中南米の温暖な地域に生息する「メガネカイマン」という種類のワニで、小学生だった長女らと眺めていると、店主から「ワニに興味あるのかい?値段は好きに決めていいよ」と声をかけられたという。

 当時は喫茶店を営んでおり、「店に展示して、客の子供たちに喜んでもらえたらいいか」と5万円で購入。すぐに「ワニのいる喫茶店」として注目を集めた。カイマン君を連れてJR呉駅周辺を散歩する様子は話題となり、雑誌や地元のテレビ番組などで取り上げられた。地域のイベントにも呼ばれ、東京のテレビ局からも出演依頼が相次いだ。カイマン君の人気上昇とともに、村林さんも「ワニおじさん」と呼ばれるように。現在、経営する会社も「和仁わに総業」と名付けた。

 家の中では、餌を求めて台所をノソノソと物色するたび、妻に「あっち行け」と怒られ、おとなしくトボトボと立ち去るなど、怖そうな見た目と愛らしいしぐさのギャップに魅了され、家族としての絆も深まっていった。

 2020年、ワニは動物愛護管理法の「特定動物」に指定され、愛玩目的での飼育が禁止となった。村林さんは、鍵のついた強化ガラスのおりで飼育していることや、逃げ出した場合でも位置が特定できるよう体内にマイクロチップを埋め込んだことなどを丁寧に説明し、呉市から飼育の継続を認められた。

 購入時は約30センチだったカイマン君の体長は2メートル05にまで成長した。昨年10月末頃に体調を崩し、大好物の鶏肉やコイを食べなくなり、体重は10キロ近く減少。嘔吐おうとすることもあったため、かかりつけの動物病院で点滴を打ってもらうなどしたが、11月8日朝、息を引き取った。

 「今にも動き出しそうで、死を信じたくない気持ちだった」と村林さん。東広島市のペット霊園で営まれた葬儀には、和仁総業の社員らも参列。村林さんはカイマン君の亡きがらに「俺は多くの幸せをもらったが、お前は幸せだったか」と問いかけた。

 数え切れないほどの人との出会いを作ってくれたカイマン君には、今も感謝の気持ちでいっぱいという。「『俺がいなくなっても頑張れよ』って、最後に背中を押された気がした」。村林さんは空を見上げ、涙を流した。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください