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拒否なし選択肢・解約に手間・条件こっそり…通販サイトなどの悪質誘導に独禁法検討、公取委が適用可否を調査

読売新聞 / 2025年1月15日 7時8分

 通販サイトなどを、消費者の判断を誤らせるような作りにする「ダークパターン」について、独占禁止法を適用して規制できるかどうか、公正取引委員会が調査研究に乗り出したことがわかった。消費者の選択をゆがめ、公正な市場競争を妨げる恐れがあるとの観点で、検討を本格化させる。

 公取委が所管する独禁法は、自社のサービスを著しく優良だと見せかけて客を不当に誘導する行為を「不公正な取引方法」の中の「欺まん的顧客誘引」で禁じている。例えば、通販サイトでウソの情報を表示し、意思決定に影響を与えるダークパターンなど一部のケースについては、こうした規制で捕捉できるとの指摘がある。

 一方、サブスクリプション(定額制)サービスで解約手続きを複雑にするといった行為は「人を欺いているとは言えず、独禁法では捕捉できない恐れがある」との見方もあり、独禁法で対応できる範囲を早急に見極め、対策を検討することにした。

 公取委の調査研究機関、競争政策研究センターは3月、ダークパターンに関する専門家の国際会議を開催する見通しで、国際動向の把握も進める。

 公取委は近年、巨大IT企業が支配を強めるデジタル市場の監視を強化しており、巨大ITがダークパターンを駆使して利用客を囲い込み、競合他社が太刀打ちできなくなる事態を懸念する。

 生成AI(人工知能)の進化によって、利用者を誘導したり、だましたりしやすいサイトや広告を作り出すことが容易になるとも言われる。今後、企業が販売促進などの手法として、ダークパターンの利用をさらに拡大させるとの見方もあり、対策が求められている。

 被害者には政府による規制を求める声も多いが「日本ではダークパターンを包括的に規制する法律はない」(業界関係者)とされる。

 こうした状況に、景品表示法や特定商取引法を所管する消費者庁も国内事例の調査研究を進めており、3月までに具体的な事例を整理した報告書をまとめる方針だ。公取委は消費者庁とも連携しながら、独禁法関連の調査研究を進める。

 欧米では政府がダークパターンを問題視し、規制する動きも出ている。米連邦取引委員会(FTC)は2023年、ダークパターンで消費者を欺き、自動更新の有料会員サービス「アマゾンプライム」に登録させたなどとして、アマゾン・ドット・コムを提訴した。

 欧州連合(EU)は22年成立の「デジタルサービス法」で、消費者を欺くようにサイトを設計することを禁止した。

◆ダークパターン=ウェブサイトやアプリの画面などで消費者を誘導、強制、操作するような仕組み。日本では約9000万人が経験し、年間被害総額は最大約1.7兆円に上ると推計される。経済協力開発機構(OECD)は、解約を難しくする「妨害」など7種類に分類している。

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