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前回は5時間半で断念した韓国大統領の拘束、今回は6時間で執行…尹大統領は取り調べに供述拒否

読売新聞 / 2025年1月15日 22時10分

15日、ソウルで談話を発表する尹大統領=聯合AP

 【ソウル=小池和樹、依田和彩】韓国の尹錫悦ユンソンニョル大統領の戒厳令宣布を巡り、内乱容疑などで捜査している高位公職者犯罪捜査庁(公捜庁)や警察などの合同捜査本部は15日、尹氏に対する拘束令状を執行した。韓国で現職大統領の拘束は史上初めて。懸念されていた衝突は起きなかった。

 同日午前、ソウル市内の大統領公邸敷地内で拘束された尹氏はソウル近郊・京畿道(キョンギド)果川(クァチョン)市にある公捜庁に移送され、同庁検事による取り調べを受けた。同庁によると、尹氏は供述を拒否している。合同捜査本部によると取り調べは午後9時40分頃に終了した。聯合ニュースによると尹氏はその後、ソウル拘置所に移された。公捜庁は令状を執行してから48時間以内に、より長期の身柄拘束が可能になる逮捕状を裁判所に請求するかどうかを判断する。

 尹氏は拘束令状執行後、事前に撮影していた映像を公開。尹氏は「この国の法は全て崩れた。捜査機関が無効な令状によって(執行)手続きを強圧的に進めている」と批判した。「捜査を認めているわけではないが、韓国の憲法と法体系を守らなければならない大統領として、望ましくない流血事態を防ぐため」拘束に応じると強調した。

 弁護側は、憲法裁判所で14日に初弁論があった尹氏の罷免(ひめん)の可否を決める弾劾(だんがい)審判について「争点が整理されれば、(尹氏は)積極的に出席して立場を明らかにする。(拘束に)萎縮(いしゅく)せずに出席する」とした。次回弁論は16日に予定されている。

 合同捜査本部は、昨年12月3日夜に戒厳令を出した尹氏が軍や警察を国会に動員して政治家らを逮捕しようとするなど、刑法の内乱罪に当たる行為を首謀したとして捜査を進める。韓国の憲法は内乱罪に関し、大統領が在職中、訴追を免れる不訴追特権の例外としている。内乱罪は憲法秩序を乱す目的で暴動を起こした場合に適用される。首謀者と認定されれば、死刑または無期懲役か無期の禁錮刑が科される。

 韓国・聯合ニュースによると、合同捜査本部は15日午前4時30分前に公邸前に到着。公邸前で弁護団らとのにらみ合いが続いたが、同7時半頃には警察官らがはしごを使って公邸内に進入し、拘束令状は同10時33分に執行された。公捜庁関係者はこの日「大きな障害はなく進むことができた」と述べた。大統領権限を代行する崔相穆チェサンモク副首相兼企画財政相は15日、「不幸な事態が発生した場合、厳重に責任を問う」と声明を出していた。

 合同捜査本部が3日に初めて拘束令状の執行を試みた際は警護庁に阻止されて約5時間半で断念していた。

尹大統領の国民向け談話要旨

 韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が15日、拘束に際して発表した国民向け談話の要旨は次の通り。

 私を応援してくれたことに感謝する。

 残念ながら、この国の法はすべて崩れた。

 捜査権のない機関に令状が発付され、令状審査権のない裁判所が拘束令状と捜索令状を出したのを見て、また、捜査機関がうその公文書を発行して国民を欺く違法が行われ、無効な令状によって手続きを強圧的に進行するのを見て本当に嘆かざるを得ない。

 私は今日、彼らが消防装備を動員して警護保安区域に侵入してくるのを見て、流血事態を防ぐため、ひとまず不法捜査ではあるものの高位公職者犯罪捜査庁(公捜庁)への出席に応じることにした。

 しかし、公捜庁の捜査を認めるわけではない。憲法と法体系を守らなければならない大統領として、違法で無効な手続きに応じるのは流血事態を防ぎたいとの一念からだ。

 国民の皆さんがこれまで、特に青年たちが自由民主主義の大切さを本当に再認識するようになり、情熱を見せてくれたのを見て、今は法が崩れて暗い時期だが、未来には希望があるという考えを持つようになった。

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