メダリスト生む「虎の穴」、週1回の英会話・自分で洗濯・スマホ預け就寝…選考基準は競技ごとに異なり6競技の計22人が在籍
読売新聞 / 2025年1月16日 5時0分
日本のメダルラッシュに沸いた昨夏のパリ五輪では、日本オリンピック委員会(JOC)が設立した「エリートアカデミー」出身の選手たちが大活躍。金2個を含むメダル7個を獲得した。親元を離れた若き選手たちは、「虎の穴」でどんな生活を送り、強くなっていくのか。
卒業生21年から五輪出場
アカデミーは中高生が対象で、寄宿制で最長6年間の英才教育を受ける。開校から16年を経て、存在感は高まっている。
卒業生が初めて五輪に出場したのは、2021年東京大会。レスリングと卓球で、5人がメダリストになった。
昨夏のパリ五輪では、これを上回る7人がメダルに輝いた。フェンシング男子フルーレ団体金の永野雄大選手(26)(ネクサス)もその一人。高校1年で入校した際は、「地元の茨城では負けなしだったが(アカデミーでは)自分より強い人しかいない」と衝撃を受けた。練習では北京、ロンドン五輪でメダルを獲得した太田雄貴さんと剣を交える機会もあり、「今のままでは勝てないと気づかせてもらった。休みもない厳しい環境だったが、強くなった転機はあの3年間だった」と振り返る。
味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC、東京都北区)が開館した08年、アカデミーも始動した。
設立の背景には、1990年代の五輪での日本の競争力低下がある。当時は、トップアスリートも地域住民と体育館の争奪戦を繰り広げた時代。特にマイナー競技は、練習相手や指導者の不足が深刻だった。2000年策定のスポーツ振興基本計画には、「ジュニア期からトップまで一貫した指導システムの必要性」が盛り込まれ、NTCとアカデミーが設立された。
当初は卓球とレスリングの2競技でスタート。今ではフェンシング、ライフル射撃、ローイング、アーチェリーを加えた6競技で計22人が在籍している。
入校するには、各競技団体の推薦を経て、書類や面接によるJOCの選考をパスする必要がある。全国大会の実績も条件の一つだが、小口貴久ディレクターは「単純に全国1位だからいい、という話ではない。競技ごとに選考基準は異なる」と語る。競技によっては、練習環境の整った数少ない大学に進学するための学力が求められたり、体力や集中力を重視したりと基準は様々だ。今年度は、ライフル射撃の全日本小中学生選手権女王ら2人が加わった。
協調性を育むため、NTC内の「アスリートヴィレッジ」で、2~3人相部屋の寮生活を送る。日中は近くの公立中や北区内か通信制の高校に通学し、下校後は午後8時頃まで練習に励む。
食事は主菜を牛肉、豚肉、鶏肉、魚から選ぶバイキング形式。管理栄養士のチェックもあるが、海外遠征を想定して「自分で選択し、自分で責任をとる」(小口ディレクター)との意識を育む。自立もテーマで、洗濯も自分で。就寝前はスマートフォンを預け、午後11時に消灯する。
アカデミーで「主将」を務めるアーチェリー女子の古庄日和子選手(足立新田高3年)は、中学3年で上京した。地元・福岡では練習場まで1時間以上かかったが、「今は室内で安定して練習量を確保できる」。専属コーチの指導を受け、食育、熱中症対策、ハラスメントへの対応など座学もこなす。全員が受講する週1回の英会話に加え、強豪の韓国の指導者と意思疎通するために韓国語も自主勉強中。生活のすべてを競技にささげ、「25年はナショナルチームに入りたい。32年ブリスベン五輪でメダルを」と飛躍を誓う。
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