ガザ「42日間」停戦、人口密集地からの軍撤退や人質解放などで合意…恒久停戦は予断許さず
読売新聞 / 2025年1月16日 11時30分
【エルサレム=福島利之】パレスチナ自治区ガザでの停戦と人質解放の交渉を巡り、仲介にあたるカタールのムハンマド・サーニ首相は15日夜(日本時間16日未明)、首都ドーハで記者会見を開き、イスラエルとイスラム主義組織ハマスの双方が合意に達したと発表した。今月19日に発効する。今回合意したのは停戦の第1段階で、恒久的な停戦の実現に向け、予断を許さない状況が続く。
イスラエルとハマスは2023年11月、人質解放と戦闘休止で一度は合意したが、期限切れで7日後に戦闘が再開していた。
カタール政府の発表によると、停戦の第1段階は42日間で、イスラエル軍はその間に人口密集地から撤退する。ハマスは、ガザに拘束している約100人の人質のうち、女性や高齢者、負傷者ら33人を解放し、イスラエルはその引き換えとして、刑務所に収監するパレスチナ人を釈放する。
イスラエルはまた、ガザ住民の北部への帰還を認め、食料や燃料などの支援物資の搬入を促進させる。残りの人質解放や恒久的な停戦を目指す第2、3段階は、第1段階の履行中に結論を出す。交渉の仲介にあたるカタールとエジプト、米国が合意の履行を保証するとしており、サーニ首相は「恒久的な停戦につながることを望む」と述べた。
イスラエルは16日にも閣議を開き、合意内容を承認する予定で、イツハク・ヘルツォグ大統領は「内閣が承認し、私たちの息子や娘を帰還させることを求める」と演説で述べた。
一方、ハマスは「停戦合意は、ガザでのパレスチナの人々の15か月以上にわたる勇敢な抵抗の結果だ」との声明を出した。
今回の合意内容は、バイデン米大統領が昨年5月に提案したものとほぼ同じだが、今月20日に就任するトランプ次期大統領が就任前の停戦合意を双方に強く求め、交渉が進展した形だ。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は15日、バイデン氏とトランプ氏に電話し、合意の仲介への謝辞を伝えた。
ガザの本紙通信員によると、南部ハンユニスでは合意の一報が伝わると、避難民の若者らがテントから出て、パレスチナの旗を振りながら「神は偉大なり」と叫びながら跳びはねて歓喜した。エルサレムでは、大勢のイスラエル人が街頭に出て合意を祝った。
ガザの保健当局によると、2023年10月にガザで戦闘が始まって以来、イスラエルの軍事作戦による死者は4万6707人に達した。停戦交渉中の15日も、ガザ各地で62人が殺害された。
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