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救急患者「たらい回し」回避へ調整システム…患者情報を多くの病院に即時共有、受け入れ先を迅速に確保

読売新聞 / 2025年1月16日 15時0分

救急隊の効率的運用が求められている

 政府は救急患者の搬送にあたり、患者情報を多数の病院と共有して短時間で受け入れ先を確保するシステムの全国展開を目指す。患者のたらい回しを回避する狙いで、一部自治体が先駆的に実施している搬送調整システムを全国に拡大させる。政府は、搬送時間の短縮によって、患者の救命率向上につなげたい考えだ。

 新たな搬送調整システムについて、政府は2025年度にも希望する自治体から先行導入を始める方向だ。システムでは、現場に駆けつけた救急隊が患者の氏名や患部の画像などを入力し、医療圏を指定して送信すると、情報が圏内の病院に即時共有される。病院側は受け入れの可否をシステム上で返答し、救急隊は電話で最終確認を取って搬送する。

 システムは、災害時に都道府県をまたいで医療機関の状況を共有できる「広域災害救急医療情報システム」(EMIS)を母体とし、平時でも使いやすい仕組みに改修することを検討している。独自の救急システムを構築している自治体との情報連携も目指す。

 さらに、「マイナ保険証」とも連動させ、救急車内の端末でカードを読み取ると、登録された通院歴や処方薬などの情報が病院に共有されるようにする方向だ。

 厚生労働省と総務省消防庁は近く、一部自治体の協力を得て、救急隊がウェブ上で患者情報などを入力・送信し、医療機関と共有するモデル事業を実施する。結果を踏まえて、来年度から希望自治体を募り、新システムの実装に着手する方針だ。

 従来の搬送調整では、救急隊が病院に個別に電話連絡し、搬送先を探す方法が一般的だった。受け入れ不可の場合は別の病院に改めて電話をかける必要があり、搬送開始まで長時間かかるケースも多かった。

 政府は、一部自治体が独自のシステムやアプリで行っている搬送調整を国が用意することで、財政事情が厳しい自治体でも採用できる状況を整えたい考えだ。システムの活用によって各病院の病床の逼迫ひっぱく度合いが可視化されるため、救命救急医療にあたる医療機関ごとの負担の偏りが解消される効果にも期待を寄せている。

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