ガザ停戦を仲介のカタール、ハマスへの影響力駆使し妥協要求か…エジプトから中心的役割移る
読売新聞 / 2025年1月16日 23時14分
パレスチナ自治区ガザでの停戦と人質解放の交渉を巡り、仲介にあたるカタールのムハンマド・サーニ首相は15日夜(日本時間16日未明)、首都ドーハで記者会見を開き、イスラエルとイスラム主義組織ハマスの双方が合意に達したと発表した。今月19日に発効する。今回合意したのは停戦の第1段階で、恒久的な停戦の実現に向け、予断を許さない状況が続く。
ガザでの停戦合意を発表したカタールは、ハマスへの影響力を生かし、仲介国として存在感を示した。
米国、エジプトと仲介を続けてきたカタールのムハンマド・サーニ首相は15日の記者会見で、「3か国共同の取り組みが交渉妥結につながった」と強調した。
カタールは2012年から、ハマスの在外拠点となってきた。ハマスの母体であるイスラム主義組織「ムスリム同胞団」との歴史的に深い関係に加え、ハマスとの対話ルートを確保したい米国の要請に応じたともいわれる。
過去のガザ紛争での停戦仲介はエジプトが主導してきたが、同胞団を敵視するシシ政権のハマスへの影響力が低下し、中心的役割がカタールに移った。
交渉停滞が続いた昨年11月には、一時仲介を停止してハマスに態度を改めるよう迫った。カタールは否定するが、米国がハマス幹部の追放を求め、カタールも要求を受け入れたと報じられた。トランプ政権発足までに停戦を実現したい米国側の意向をくみ、影響力を駆使してハマスに強く妥協を求めた可能性がある。
カタールは安全保障戦略の一環として、中東最大級の米軍基地を受け入れている。一方で米国と敵対するイランとも良好な関係を保ち、イランと米国の囚人交換の仲立ちも行った。今回の停戦合意で、仲介外交で築いた独自の地位が改めて示された。(カイロ支局 田尾茂樹)
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