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阪神大震災の復興住宅、兵庫の被災世帯入居率が35%に低下…高齢化で集会所の鍵返還の事例も

読売新聞 / 2025年1月16日 20時48分

復興住宅「西宮浜4丁目住宅」。団地棟前の広場にある平屋の建物(中央)が閉鎖された集会所(兵庫県西宮市で)

 6434人が犠牲になった阪神大震災は17日で発生から30年となる。震災で家を失った人のために建設された災害公営住宅(復興住宅)の被災世帯の入居割合が、兵庫県内で約35%に低下したことが読売新聞の調べでわかった。被災者が高齢化する中、一般の入居者が増え、団地で被災者が育んできたコミュニティーが弱体化している。

 復興住宅は、公営住宅法に基づき、災害で家を失った住民向けに自治体が安価な家賃で提供する住宅で、一定期間経過後は被災者以外も入居できる。

 読売新聞は復興住宅計1万9241戸を管理する兵庫県、神戸市など県内11市に取材。昨年12月時点で入居する計1万6325世帯のうち、被災世帯は計5673世帯(34・8%)だった。

 データが残る兵庫県と神戸市で見ると、被災世帯の割合は震災10年で県、神戸市とも8割以上だったが、震災20年で県が4割弱、神戸市が6割弱に低下。震災30年で県、神戸市とも3割台になった。

 入居者の高齢化率(65歳以上の割合)は54・3%と、この20年で10ポイント余り上昇。同県の一般県営住宅の44・8%を10ポイント近く上回る。

 以前は被災者が集会所で季節行事を一緒に楽しむなどしていたが、コロナ禍を経て利用が減少。住民が集会所の鍵を自治体に返還する事例も出ている。

 他の被災地でも、高齢化など共通の課題が多い。3月で発生14年の東日本大震災(2011年)の復興住宅は岩手、宮城、福島の3県内に計約3万戸。管理する58自治体が持つ23~24年のデータを集計すると、被災世帯割合は80・9%に上るが、高齢化率は47・9%と上昇傾向にある。

 4月で発生9年の熊本地震(16年)の復興住宅は熊本県内12市町村に約1700戸。昨年12月時点で被災世帯割合は77・1%、高齢化率は53・9%に達する。

 河田恵昭よしあき・人と防災未来センター長(減災学)の話「高齢化やコミュニティーの弱体化は、他の被災地も含めて教訓とするべきだ。今後は、最初から被災未経験の若い世代にも入居してもらうなど街全体を良くする視点での施策が必要だ」

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