ガザ停戦、第2段階はイスラエル軍撤退・人質すべて解放…第3段階は遺体返還・再建着手
読売新聞 / 2025年1月16日 21時33分
【エルサレム=浅野友美、福島利之】パレスチナ自治区ガザで戦闘を続けてきたイスラエルとイスラム主義組織ハマスは15日、停戦と人質解放で合意した。交渉を仲介したカタールのムハンマド・サーニ首相が記者会見で発表した。合意は19日に発効する。2023年10月7日に始まった戦闘はいったん停止する見通しだが、双方が合意を順守するかは不透明だ。
カタール政府の発表によると、合意したのは42日間停戦する第1段階で、イスラエル軍はその間に人口密集地から撤退する。ハマスは、ガザで拘束している約100人の人質のうち、女性や高齢者、負傷者ら33人を解放し、イスラエルは引き換えに刑務所で収監しているパレスチナ人を釈放する。イスラエル軍のラジオによると、釈放者は約1000人に上る見通しだ。
イスラエルは、ガザ住民の北部への帰還を認め、食料や燃料などの支援物資の搬入を進める。第2段階以降の取り組みは、第1段階の履行開始から16日目に協議を始める。
交渉は、米国、カタールなどが仲介役となった。米国のバイデン大統領は15日のホワイトハウスでの演説で、第2段階でイスラエル軍がガザから完全撤退して恒久的な停戦に至り、残りの人質もすべて解放される計画だと説明した。最後の第3段階で人質の遺体が返還され、ガザの再建に着手することを想定しているという。
今回の合意は、昨年5月に発表されたバイデン氏の提案とほぼ同じ内容となっている。米国でトランプ次期大統領が20日に就任するのを前に、米国がイスラエル、ハマスの双方に停戦合意を強く求め、交渉が進展した。
ハマスは15日に発表した声明で「停戦合意は、ガザでのパレスチナの人々の15か月以上にわたる勇敢な抵抗の結果だ」と表明した。一方、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は16日、「ハマスが合意をすべて受け入れたと仲介国から連絡があるまで、合意を承認する閣議は開かない」との声明を出しており、完全には折り合えていないとみられる。
ガザの保健当局は15日、戦闘開始以降のイスラエルの軍事作戦による死者が4万6707人に上ると発表した。ロイター通信によると、合意成立後もイスラエル軍はガザへの攻撃を続け、16日朝までに少なくとも70人が死亡した。
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