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ガザ停戦合意 恒久的な和平実現につなげよ

読売新聞 / 2025年1月17日 5時0分

 15か月以上にわたって人々の命と生活を奪い続けてきた戦闘がようやくいったん停止する。戦火に逆戻りすることなく、今度こそ恒久的な和平につなげなければならない。

 パレスチナ自治区ガザを巡り、イスラエルとイスラム主義組織ハマスが停戦に合意した。

 第1段階の42日間に、ハマスが2023年10月の越境攻撃で拉致した約100人のうち33人を解放する。イスラエルも収監するパレスチナ人を釈放する。残る人質の解放やイスラエル軍の全面撤退なども並行して協議する。

 イスラエルとハマスは23年11月にも人質解放と戦闘停止で合意したが、7日後に戦闘が再開した。今回は双方が着実に合意を履行することが重要だ。

 米国の政権移行が停戦実現に影響したのは間違いない。

 バイデン大統領は任期中の合意成立を急ぎ、退任前日の19日の発効にこぎつけた。一方、後継となるトランプ次期大統領は、20日の就任までに人質を解放するよう、ハマスに圧力をかけてきた。

 米国の強い働きかけで停戦には至ったものの、イスラエルとハマスの間の不信と憎悪は根深い。散発的な発砲などが引き金となって停戦が崩れる懸念は残る。

 一方、イスラエルはガザ侵攻と並行してレバノンやシリア、イランも攻撃し、ハマスへの連帯を示す武装勢力を弱体化させた。イスラエルと敵対してきたシリアのアサド政権は崩壊し、イランも影響力が低下した。

 中東の力学がイスラエル有利に転じたのは間違いない。

 トランプ氏はバイデン氏以上にイスラエル寄りの姿勢が際立つ。一方で、イスラエルとアラブ諸国の平和的な共存を仲介し、成果とすることにも意欲を示す。

 まずはガザでの停戦を守るよう、ハマスとイスラエルの双方に強く働きかけるべきだ。

 戦闘開始以降、ガザでは子供や女性を含む4万6000人以上が死亡した。あまりに痛ましい。

 停戦合意には、ガザに食料や燃料などを搬入することも盛り込まれている。イスラエル軍はガザで多くの住宅や学校、病院を破壊し、域外から支援物資を届けることが極めて困難になった。水や食料、医薬品が欠乏している。

 苦境に置かれた人々を一刻も早く救わなければならない。そのためには国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)を中心に、人道支援を早急かつ大規模に再開することが何より必要である。

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