10代・20代の3割は「公衆電話のかけ方」知らない 使ってみると...「この電話壊れてる」「受話器の音が怖い」
J-CASTニュース / 2025年1月17日 19時27分
公衆電話のかけ方と設置場所の確認を
2025年1月17日、阪神・淡路大震災から30年の月日がたった。災害時には家族との連絡が欠かせないが、状況によってはスマホがつながりにくくなり、公衆電話が大事な通信手段になるだろう。
ところが、10~20代の若者の3割が公衆電話のかけ方を知らないことが、NTTドコモのモバイル社会研究所(東京都千代田区)が2025年1月16日に発表した調査「【防災】10・20代の3割は公衆電話の利用方法を知らない」でわかった。
30代でも2割の人が知らないありさまだ。子どもたちに公衆電話のかけ方を教えるにはどうしたらよいか、調査担当者に聞いた。
家に固定電話、祖父母と同居だと公衆電話をかけられる若者が多い
災害時にはスマホがつながりにくくなり、公衆電話がつながりやすい通信手段となる可能性が高い。しかし、スマホの普及と公衆電話自体の数が減ったため、公衆電話の使い方を知らない若い世代が増えている。
モバイル社会研究所の調査(2024年11月)は全国の15~79歳の男女1万355人が対象。まず、公衆電話の使い方を知っているかを聞くと、全体で約88%が知っていると答えた。
年代別に見ると、年代別に見ると、10代と20代では、公衆電話の使い方を知らないと答えた割合が約3割、30代でも約2割と高い結果が見られた。一方、年齢が上がるにつれ知っている人が増加、50代以上では95%以上がその使い方を知っていると回答した【図表1】。
さらに、年代を4つに分けて分析した。青年(15-24歳)、壮年(25-44歳)、中年(45-64歳)、高年(65-79歳)の4グループだ。
1つ目の分析では、家族構成別に「公衆電話の利用方法を知っているか」を調べると、青年のグループでのみ差が見られた。
3世代同居(主に祖父母と同居)の場合、利用方法を知っている割合は78%とやや高く、一人暮らしの人々では66%とやや低い結果となった。ほかの年代グループでは、家族構成による差は確認されなかった【図表2】。青年は、祖父母から使い方を教わるのだろうか。
最後に、年代別に家の固定電話の有無と、公衆電話の利用方法を知っているかを比べた。
その結果、家に固定電話がある人は、利用方法を知っている割合が高いことがわかった。特に青年と壮年のグループでは、その差が14ポイントと大きくなっている【図表3】。家の固定電話が公衆電話の形と似ているからだろうか。
公衆電話の番号を押して「ディスプレイに何も表示されない」
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査をまとめたモバイル社会研究所の水野一成さん(防災・子ども・シニア調査担当)に話を聞いた。
――70代の私からすると、10代・20代で3割、30代で2割も公衆電話の利用方法を知らないということが驚きなのですが、理由は何でしょうか。やはりスマホの普及が一番大きいのでしょうか。
それと、そもそもの疑問ですが、「公衆電話の使い方を知らない」ということは、いったい何を知らないのか。(1)お金をどこに入れるかがわからないのか。(2)受話器をあげるのが先か、お金を入れるのが先か、で迷うのか。(3)番号のプッシュの仕方がわからないのか。(4)あるいは、すべての操作がわからないのか。そこを説明してください。
水野一成さん 若い方が特に利用方法を知らない割合が多いのは、携帯電話が普及したこと、それに伴い公衆電話の設置台数が減ったことで、若い方は公衆電話を利用したことがない・あるいは数回程度の利用、という結果となったと思われます。
それと、「使い方を知らない」ということの意味ですが、私も自分の小学生の子に、能登半島地震をきっかけで、公衆電話の使い方を教えました。最初、何も教えず使わせてみました。そうしたら「この電話壊れている」と言うのです。
「なぜ?」と聞くと、「電話番号押しても、ディスプレイに何も表示されない」(その公衆電話にはディスプレイがありました)と言われました。
確かに、スマホで電話をするときには、何かしらの情報がディスプレイに表示されるので、その感覚があったのかもしれません。
――なるほど。スマホを使い慣れた子どもには、こちらには想像もできない疑問が起こるわけですね。
「受話器から聞こえてくる音(ツー)を怖がる」
水野一成さん また、他の子の事例ですが、「受話器をあげずに硬貨を投入して使えなかった」とか「順番がわからず、プッシュ通知を押して、受話器をあげた」「受話器から聞こえてくる音(ツー)を怖がって、直ぐに受話器を元に戻してしまった」など、さまざまなことで、かけられなかったようです。
また、中高年の方でも数%が「利用方法を知らない」と答えていますが、「最近使っていないから、利用できる自信がない」といった意味も含めた回答結果だったのではと思います。
――私もここ数年使っていないので、試したほうがよさそうですね。
ところで青年の場合、祖父母と同居だと利用方法を知っている割合が高いのはなぜでしょうか。家に固定電話がある人は14ポイントも高いという箇所と同様に、これは公衆電話の番号をプッシュする練習ができているということでしょうか。
水野一成さん 推測とはなりますが、固定電話を所有している方のほうが高いのは、やはり受話器がある、物理的なプッシュボタンがある、固定電話での電話のかけかたを知っているから――という点が関連していると思います。
プッシュボタン、ということでは、従来型のケータイ電話(ガラケー)も経験していない人にとっては、さらにかけ方を知らない可能性があります。
災害時に備えて「公衆電話のかけ方」と「設置場所」の確認を!
――災害時には、公衆電話の利用が欠かせない事態になります。学校や社会、親世代は子どもや若い世代に公衆電話の使い方をマスターさせるために何が必要だと思いますか。
水野一成さん 災害時の一つの連絡手段として、公衆電話の利用は知っておきたいです。災害時に利用できるようにするためにも2つの点、「利用方法」と「設置場所の確認」は平時に確認をしていただきたいです。
特に若い方が分からないと答えた傾向が高かったですが、操作自体は、経験すればそこまで難しいものではありません。ぜひ、お子さんに防災意識を高める点でも、利用方法と設置場所の確認をしていただきたいです。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)
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