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刑務所も福祉施設も雪景色も…厳しい条件全て満たすロケ地・富山、映画「正体」の監督「自由度高い」「唯一無二の自然」

読売新聞 / 2025年1月18日 14時29分

日本橋とやま館では、富山県内ロケ映画のパンフレットや俳優のサインを展示(昨年12月21日、東京都中央区で)

 映画やドラマ、CMの撮影を誘致する「富山県ロケーションオフィス」(TLO)は昨年、約40件の作品を支援した。2011年の発足以降、協力した作品は500件以上に上る。関係者にロケ地としての魅力や波及効果を聞いた。(鶴田晃大)

 TLOは11年7月、映像作品を通じた地域活性化を狙い、富山県庁内に設置された。県内が舞台になる映画やドラマの撮影を円滑に進める組織で、制作側が求めるロケ地探しや撮影交渉、公開後のイベントなど多岐にわたる活動を展開する。

自由度を評価

 伝統的な建物や自然に恵まれ、多様な舞台をコンパクトに用意できる富山県内は制作陣に好評だ。県内ロケを敢行した映画「正体」(24年)の藤井道人監督は「全国有数の自由度の高いロケーション」と評価する。

 「正体」は、横浜流星さん演じる脱獄死刑囚が容姿や身分を変えながら逃亡する物語。藤井監督は、刑務所や福祉施設、雪のある景色など厳しい条件をロケ地に求めたが、すべて満たした撮影地として富山が選ばれた。藤井監督は「唯一無二の自然、雪国の美しさが魅力的だった。また、TLOに富山での撮影を相談したい」と話す。

「関係人口」増加

 ロケ地としての知名度が高まれば、定住せずとも継続的に地域と関わる「関係人口」の増加につながる。

 富山県のアンテナショップ「日本橋とやま館」(東京都中央区)では、「正体」公開に合わせ、パンフレットや監督と出演者のサインを展示。3日間で約30件の問い合わせがあり、400部のパンフレットがなくなった。ロケに使われた富山県南砺市利賀村の「利賀大橋」をくぐる庄川峡遊覧船や大牧温泉も案内した。

 TLOスタッフの高瀬舞さんは「試写会やロケ地巡礼などで富山に足を運ぶファンは多い。誘致は、県にとって費用のかからない広告だ」と解説する。

地元民も歓迎

 富山県射水市新湊地区では、内川や漁港などでロケが行われた。新湊漁業協同組合の中野剛参事は「新湊曳山ひきやままつり」を題材にした映画「人生の約束」(16年)の反響が大きかったと話す。撮影では、地区から約1200人のエキストラが集まり、曳山13基を用意した。中野さんは「住民は祭りに誇りを持っていて、目立ちたがり屋ばかり。撮影は大歓迎だった」と笑う。公開後は「観光客が増えて祭りへの士気が上がった」という。

 「正体」などでロケ地協力をした富山刑務所(富山市西荒屋)について法務省矯正局が公式Xで投稿したところ、約3万8000(17日時点)の閲覧があった。同刑務所の岩倉瑞恵総務部長は「刑務所の閉ざされたイメージを変えたいと思い、協力した」と明かす。

 ほかにも、ロケ地に選ばれた地域では、地元民が撮影スタッフを歓迎し、有志が食事を提供する姿も見られるようになっている。

海外の作品も

 近年は、インドのコメディー映画「SUMO 相撲」(24年)など、海外からも注目される。24年までに5件の海外制作陣がロケに訪れ、今後の撮影も複数決まっている。TLOの山口祐輔係長は「画面を通して地元を見て、改めて良さに気付き、愛着が増すと思う。活動を周知して、撮影件数を増やしたい」と意気込む。

 撮影などの問い合わせはTLO公式ホームページへ。

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