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コンビニ「売れ残り」寄付、困窮家庭に無償提供へ…3政令市で実証事業

読売新聞 / 2025年1月18日 15時0分

 消費者庁は2025年度、コンビニエンスストアを活用した食品寄付の実証事業に乗り出す。食べることができても売らない食品を、物価高などで十分に食品を手に入れられない人たちに無償で提供する。コンビニなど食品小売業で年間50万トン近く発生する食品ロスの削減につなげる狙いもある。

 無償提供するのは、コンビニ各社が独自に定める「販売期限」を超えた弁当やサンドイッチ、スイーツなど。販売期限は商品を交換・廃棄するタイミングで、安全に食べられる消費期限や、おいしく食べられる賞味期限より数日~2時間程度短く設定されており、期限を超えても食品としての品質や安全性に問題はない。

 実証事業では、たとえば棚に並ぶサンドイッチが期限を迎えると、店員が専用アプリに「サンドイッチ5個」などと写真を添えて登録し、店舗近く(半径350メートル以内)に住む無償提供の対象者に通知する。希望者はアプリで先着順のクーポンを取得した後、店舗に出向き商品を受け取る。

 同庁によると、無償提供を受けられる人は、住民税非課税世帯と児童扶養手当の受給世帯など。店からの通知を受け取るため、マイナンバーと連携した専用アプリへの登録が必要になる。

 実証事業は7月頃から、三つの政令市の3店舗で行う。同庁は無償提供の対象者の範囲や先着順による商品の提供方法など、公平性に問題がないかを確認し、手引を作成。全国のコンビニへ取り組みを広げたい考えだ。

 各地のフードバンク団体の活動を支援する全国フードバンク推進協議会が23年、加盟58団体に行った調査によると、物価高の影響で約8割で食料支援の要請が増えた一方、約4割で寄付を受けた量が減っていた。同協議会の米山広明代表理事は「全国各地に店舗を持つコンビニが支援の輪に加われば心強い」と話す。

 一方、農林水産省によると、食品小売業の22年度の食品ロス発生量は49万トン。公正取引委員会の20年調査では、コンビニ1店舗あたり毎日18・9個のおにぎり、5・2個の弁当などが廃棄され、それらの処理費用は年468万円にのぼった。

 今回の取り組みについて、日本女子大の小林富雄教授(フードシステム論)は「生活に困っている人たちへの食料支援と食品ロス削減を両立する仕組みとして期待できる」と評価。一方で、「適正な商取引をゆがめないような工夫が必要だ。対面での提供という心理的負担への配慮も求められる」と指摘している。

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