巨大ＩＴがＡＩ市場独占の恐れ、豊富な資金力で新興企業囲い込み…米ＦＴＣ報告書

米連邦取引委員会（ＦＴＣ）の紋章＝ロイター

　【ニューヨーク＝小林泰裕】米連邦取引委員会（ＦＴＣ）は１７日、巨大ＩＴ企業が新興ＡＩ（人工知能）企業との提携を通じ、生成ＡＩ市場での独占を拡大する恐れがあるとの報告書を公表した。巨大ＩＴ企業が豊富な資金力を用いて新興ＡＩを囲い込み、将来的に買収に発展する可能性もあると指摘している。

　報告書によれば、マイクロソフトは「チャットＧＰＴ」を開発したオープンＡＩに１３７・５億ドル（約２・１兆円）、アマゾンは新興ＡＩ企業のアンソロピックに８０億ドル、グーグルもアンソロピックに２５・５億ドルを投資している。巨大ＩＴ３社はこの投資の見返りとして、自らが手がけるクラウドサービスの利用や、ＡＩに関する重要なデータの提供などを新興ＡＩ２社に求めているという。

　巨大ＩＴ企業はこうした方法を通じて新興ＡＩの技術や人材を独占し、生成ＡＩ市場での支配力を拡大しているという。将来的に、新興ＡＩ２社が巨大ＩＴ企業に完全に買収される可能性もあると分析している。