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「デジタル」も正式教科書、文部科学省が「紙」との選択制検討…専門家から懸念も

読売新聞 / 2025年1月19日 5時0分

文部科学省

 文部科学省が、紙の教科書の「代替教材」としているデジタル教科書を正式な教科書に位置づけたうえで、紙とデジタルのどちらを使うかは各教育委員会が決める「選択制」の導入を検討していることが18日、わかった。実現すれば、デジタルだけで学ぶ児童生徒が出てくることになる。学校教育の基盤となる教科書のあり方を大きく転換するもので、議論を呼びそうだ。

 21日に開かれる中央教育審議会のワーキンググループ(作業部会)に、こうした方向性を盛り込んだ「論点」を示す。

 デジタル教科書は、紙の教科書と同じ内容をデジタル化したもので、児童生徒は1人1台の学習用端末で見ることができる。文科省は「当面は紙と併用」する方針を定め、2024年度から小学5年以上の英語と算数・数学の一部で導入している。

 文科省が提示する論点では、〈1〉デジタル教科書の位置づけを「代替教材」から正式な教科書に見直し、国が行う教科書検定や無償給与の対象とする〈2〉紙かデジタルかは各教委が選択する――ことなどを検討課題とした。作業部会の議論を踏まえ、文科省は来月にも中間報告をまとめる予定だ。

 学校教育法は、紙の教科書を正式なものとし、現行のデジタルを「紙に代えて使用できる教材」と規定する。デジタルが正式な教科書になれば、紙の教科書を使わず、デジタルだけの学習が可能になる。国が内容の正確性や適切性を審査する検定の対象となり、義務教育では児童生徒に無償で配られる。

 公立学校の場合、教科書は設置する自治体の教委が選定している。選択制が導入されると、紙かデジタルかの形態を含め、自治体が判断し、どちらか一方を配布する。

 デジタルを正式な教科書として使うには学校教育法の改正が必要となる。文科省は26年度までの改正を目指し、次期学習指導要領に基づく授業が始まる30年度からの使用を想定している。

 デジタルの学習効果を巡っては、紙に比べ記憶が定着しにくいとの研究結果があるほか、視力低下などの悪影響も懸念されており、デジタル教科書の使用拡大には慎重意見も根強い。

 酒井邦嘉・東京大学教授(言語脳科学)は「デジタル教科書が紙と同等以上であることが示されていない状況で、正式な教科書にするのはあまりに拙速だ。子どもたちの学力に深刻な影響を与えるおそれがあり、文科省は慎重に検討すべきだ」と指摘している。

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