管理職に就く上での課題...65.0%「会社のサポート不足」、61.8%「ロールモデル不在」 JACリサーチ
J-CAST会社ウォッチ / 2025年1月18日 17時15分
人材紹介事業のジェイ エイ シー リクルートメントが展開する、転職・雇用への意識や実態など調査・発信する「JACリサーチ」は、正社員として働く20代~50代を対象に、管理職や女性活躍に関する調査を行い、2024年12月18日にその結果を発表した。
44.2%が「希望して管理職になった」
この調査は、従業員1000人以上の企業で正社員として働く(1)課長以上の管理職20代~50代の男女500人、(2)20代・30代の管理職意向の男女500人、20代・30代の管理職になりたくない非意向男女500人、課長以上の管理職20代~50代男女500人の計1500人を対象とした。2024年11月6日~11日、インターネットを通じて調査を行った。
調査では、20代~50代の男女正社員(n=1701)に課長クラス以上の管理職になりたいか聞くと、管理職になりたい気持ちは「とてもそう思う」8.3%、「そう思う」16.9%と、計25.2%が「管理職になりたい」と前向きだった。「そう思わない」38.6%、「まったくそう思わない」36.2%だった。なお、「管理職になりたい」との回答者は、男性29.5%、女性17.8%で、女性は男性よりも低かった。
つづいて、課長以上の管理職として働く500人に、管理職になる前の気持ちを聞くと、44.2%が「希望して管理職になった」、46.0%が「希望していなかったが、納得して管理職となった」、9.8%が「希望していなかったし、管理職になりたくなかった」という結果に。男女別では、「希望して管理職になった」男性は49.2%、女性は39.2%だった。なお、管理職の充実度では「とても充実している」21.2%と「充実している」52.4%の合計73.6%が充実しているという。
また、現管理職500人に、管理職になる前と比べ、管理職になって感じられるようになったことを聞いた。その結果は多い順に、「広い視野が持てる」(43.4%)、「他者の意見に耳を傾けている」(42.4%)、「主体的に業務を遂行できる」(35.6%)が挙がった。管理職に就いてよかったことでは、「収入が増えた」(54.0%)、「裁量権がある」(39.4%)、「会社の重要な情報を知ることができる」(32.4%)の順だった。
41.8%が「ストレスが増えた」
もっとも、管理職になって悩むこと、課題に感じることは少なくない。調査では管理職の男女500人にこの点を聞くと、多い順に「ストレスが増えた」(41.8%)、「部下の育成が難しい」(37.8%)、「ハラスメントにならないために気を遣う」(37.2%)、「業務負荷が大きい」(32.6%)が挙がった。
また、20代・30代の正社員男女1000人に、管理職に就く上での課題を聞いた。それによると、「会社によるサポートの不足」(65.0%)、「ロールモデルの不在」(61.8%)、「性別による偏見」(39.3%)などが指摘された。
なかでも、「ロールモデルの不在」は男性(54.2%)よりも、女性(69.4%)に多い傾向だ。「管理職意向」の男性で見た場合でも58.0%と半数を超える高い数値だが、さらに女性では72.0%となっている。
「女性管理職の約半数が課長止まりの『ガラスの天井』」を感じる結果
現在、企業では「女性活躍」への注力が急務となっているが、会社内における女性管理職の処遇や位置づけについて、今回の調査で聞いた。
現管理職500人に「女性管理職比率を上げるための人事が行われていると感じるか」を聞くと、70.0%が「そう思う」(「とてもあてはまる」21.0%と「あてはまる」49.0%の合計)と答えた。男女別に見た場合、女性(67.6%)以上に、男性(72.4%)の方が強く感じている結果が出た。
具体的には「女性の方が実力に比べ出世しやすい」(42歳 男性)、「女性管理職比率を増やす目的で、優秀な男性社員が管理職になれない」(53歳 女性)といった声が寄せられたという。
「管理職としての適性の評価基準が男性管理職の働き方をベースに作られている」との質問に対しては、53.2%が「そう思う」とした(「とてもあてはまる」14.4%と「あてはまる」38.8%の合計)。男女別に見た場合、男性(44.4%)よりも、女性(62.0%)の方が高かった。
たとえば、「昇進は性差を感じないが、求められる業務内容・負荷は男性基準」(45歳 女性)、「女性管理職の人数は増えているが会社としてのフォローがない」(53歳 女性)といった声が寄せられたという。
「性別が理由で昇格できたと周りから見られる」との質問に対しては、34.4%が「そう思う」とした(「とてもあてはまる」7.0%と「あてはまる」27.4%の合計)。男女差(男性32.4%:女性36.4%)はあまりないものの、30代は51.0%と、他の世代に比べて突出した。
「女性は課長になることができても、それより上の役職に就くことが少ない」との質問に対しては、43.8%が「そう思う」とした(「とてもあてはまる」10.4%と「あてはまる」33.4%の合計)。
これは、男性(34.4%)よりも、女性(53.2%)に多かった。調査元は「女性管理職の約半数が課長止まりの『ガラスの天井』を感じ、30代では62.3%とさらに高くなっています。管理職の声が聞こえてくる30代は、女性管理職の処遇が自分ごと化され、関心が高くなっているようです」と指摘している。
今回の調査を踏まえ、コーポレートサービス第1ディビジョン マネージャーの大村薫子氏は「求職者との面談で、管理職を希望する女性が以前より増えていることを実感しています」とし、一方で政府の働きかけとあいまって、女性管理職の求人を企業から預かることは多いと指摘する。
だが、今回の調査結果からも明らかになったさまざまな課題があるとし、「優秀な女性管理職を採用したいと考える企業は、女性管理職を増やすことの意義や必要性を改めて認識することが求められていると感じます」と説明する。
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