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基礎的財政収支 目標延期を安易に繰り返すな

読売新聞 / 2025年1月20日 5時0分

 日本の国力を高めていくためには、経済成長と財政健全化の両立を目指していかねばならない。政府は、信頼に足る財政再建の目標を策定する必要がある。

 政府は、国と地方の基礎的財政収支(PB)が、2025年度も赤字になるとの試算を公表した。18年以来、25年度の黒字化を目標として掲げてきたが、それを先送りすることになる。

 日本の財政運営に対する信頼を低下させるもので、政府は重く受け止めねばならない。26年度には黒字化する見通しだというが、常態化する補正予算を考慮に入れておらず、不確実である。

 PBは、借金に頼らずに政策に使う経費をどれだけ税収などで賄えているかを表す指標だ。

 国債など国の借金は約1300兆円に上り、主要先進国で最悪の水準にある。時間をかけて巨額の債務を減らしていく上で、まずはPBの黒字化が欠かせない。

 昨年7月の試算では、高い税収の伸びを見込んで、25年度は8000億円の黒字になるとしていたが、一転して4・5兆円の赤字が残る見込みになったという。

 その要因は、24年度補正予算が13・9兆円と23年度を上回る規模となり、実際の執行が25年度にまたがる事業が出てきたことだ。

 コロナ禍で歳出の拡大が続いたが、政府は23年6月に「歳出構造を平時に戻していく」との方針を決めていたはずである。石破政権が、規模ありきで漫然と歳出を膨らませた結果、目標達成が遠のいたと指摘せざるを得ない。

 PBは、02年に小泉政権が「10年代初頭の黒字化」を掲げて以降、最大の財政再建目標に位置づけられてきた。だが、達成の目標年度は先送りが繰り返され、黒字化を果たしたことは一度もない。

 日本の国力を強化していく上で、財政健全化の重要性は一段と増しているのが実情だ。

 国際的な競争に打ち勝つために、脱炭素や半導体など戦略的な分野へ国が資金を投じることが重要になっている。少子化対策では、社会保障を充実させ、将来不安を払拭ふっしょくすることも求められる。

 また、大規模な自然災害や、世界的な経済危機といった不測の事態に対応するためにも、財政余力を高めておくことが望ましい。

 日本銀行が政策金利を引き上げていけば、国債の利払い費も増えていく。今の若者を含めた将来世代にツケを回してはならない。

 政府は、財政健全化の必要性を国民に広く伝えていくべきだ。

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