トランプ氏の「内なる敵」米軍にも矛先…上層部にいる「ウォーク」を「すぐに排除するつもりだ」
読売新聞 / 2025年1月20日 5時9分
[トランプの米国 内なる戦い]<下>
米国のトランプ次期大統領は、進歩的な主張の民主党を支持する勢力を「内なる敵」と呼ぶ。その矛先は民主党政権下で多様性への取り組みが進んだ軍にも向けられている。
米国では「ウォーク(目覚めた)」という言葉が定着している。元々は人種差別などの社会問題に敏感な人を指す言葉だが、今では保守派による批判の決まり文句だ。トランプ氏は昨年の大統領選で「軍の上層部にウォークが数人いる。すぐに排除するつもりだ」と繰り返し訴えた。
トランプ氏は自らの意に沿わない軍幹部の解任を可能とする大統領令を検討しており、大規模な「粛清人事」の可能性がささやかれている。標的となりそうなのが、米軍制服組トップで黒人のチャールズ・ブラウン統合参謀本部議長だ。
軍内の人種差別と戦ってきたブラウン氏は2023年、バイデン大統領に指名された。議長ポストは安全保障政策を継続させるため、大統領任期をまたいで4年務めるのが通例で、解任となれば極めて異例だ。
トランプ氏は第1次政権で、白人警官が黒人男性を死亡させた事件の後に広がった抗議デモに軍投入を検討したが、軍幹部の猛反対に遭った。軍への不満は強く、ナチス・ドイツのヒトラーに仕えたような「忠実な将軍が必要」と語ったこともある。マーク・ミリー前統合参謀本部議長は退任演説で、「暴君、独裁者に誓いを立てない」とトランプ氏を当てこすった。
トランプ氏は不法移民の大量強制送還に軍投入を辞さない構えを見せている。米軍は原則として国内での法執行を禁じられており、強行すれば軍に混乱を招く事態も予想される。
ロシアのウクライナ侵略や中東情勢は予断を許さず、中国との競争は激化している。世界最強の米軍が不安定になれば、世界の安全保障に影響が及びかねない。
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