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米澤穂信さん原作のアニメ「氷菓」スタンプラリー、海外からもファン…岐阜県「予想以上の反響」

読売新聞 / 2025年1月20日 14時40分

 岐阜県出身の直木賞作家・米澤穂信よねざわほのぶさん原作のアニメ「氷菓ひょうか」のスタンプラリーが25日まで、モデルとされる高山市内で開催されている。国内だけでなく海外からもファンが訪れる盛況で、主催した県は「予想以上の反響」を驚く。原作シリーズ第1作の刊行から20年以上、アニメ公開からも10年以上が過ぎてもなお、根強い人気を誇る。(小島駿佑)

実在の場所がモデルに

 「氷菓」は、「黒牢城こくろうじょう」などの作品で知られる米澤さんのミステリー小説「〈古典部〉シリーズ」を原作としている。第1作の「氷菓」は2001年刊行の米澤さんのデビュー作で、16年までに6冊を刊行した。

 ストーリーは、余計な力を使わない「省エネ主義」を信条とする高校生・折木奉太郎おれきほうたろうと、好奇心旺盛な同級生の千反田ちたんだえるを中心に、2人が通う神山かみやま高校などを舞台に謎を解き明かす。千反田のセリフ「わたし、気になります」がファンの間で人気を呼んだ。

 作品の舞台は架空の「神山市」だが、モデルは米澤さんの出身地の高山市だとされる。12年のアニメで神山高校のモデルが県立斐太ひだ高校になるなど、実在の場所やイベントをもとにしている描写も多い。京都アニメーション制作で、作画の美しさや透明感、軽快なセリフ回しも評判になった。

「聖地巡礼」後押し

 県は昨年10月から、氷菓とコラボしたスタンプラリー(参加無料)を始めた。

 これまでもスタンプラリーはあったが、今回は初めて県が主催。飛騨山王宮日枝神社など市内5か所を順に巡り、専用の台紙にキャラクターのスタンプを集める。実際にモデルの地を訪れる「聖地巡礼」を後押しする企画で、全てを回ると記念ポストカードがもらえる。

 県によると、開始1か月程度でスタンプラリーの参加者が1300人を超えた。参加者アンケートによると20、30歳代が約7割で、県外や海外から訪れた人が8割以上を占めた。

 県観光誘客推進課の担当者は「原作刊行やアニメ放送当時からずっと、ファンが作品を支持し続けている」とみる。

「探訪マップ」配布

 「スタンプラリーを知って、聖地巡礼をしようと思った。氷菓のポスターなどもたくさん貼ってあって楽しい」。東京から友人と訪れたファンの女性(24)は、満面の笑みを浮かべた。

 地元の高山市も作品を支援。数十枚のアニメのカットを使った無料の「舞台探訪マップ」を作成し、これまでに10万部以上を配布。米澤さんがアルバイトをしていた「三洋堂書店」の高山店にも、「氷菓」を含む作品の常設特別コーナーが設けられ、氷菓が町中の光景に溶け込んでいる。

 古田肇知事は、県内を舞台とする他作品とともに、「アニメツアー的なことを考えてみてもよい」と期待を込めた。

アニメの風景に感動…記者も参加

 中学生の時に「氷菓」を読み、ファンとなった筆者も昨年11月末、12月中旬の2回にわたり、スタンプラリーを堪能した。

 最初はJR高山駅近くの飛騨高山観光案内所で台紙を受け取り、折木奉太郎のスタンプを押してスタート。外国人の多さに驚くとともに、その持ち物から「アニメ」目的とみられる人も多く、アニメの世界的な人気ぶりを誇らしく思った。

 2番目の「飛騨高山にぎわい交流館 大政」までは歩くと15分ほど。千反田の描かれた美麗な看板に歓喜の声を上げつつ、二つ目のスタンプを押した。

 3番目の市図書館、4番目の日枝神社もいずれも徒歩圏内で、高山の町並みを散策しながら回れた。作中で登場する喫茶「パイナップルサンド」のモデル「バグパイプ」やアニメオープニングに登場した宮川朝市通りなども通れるほか、安全運転を促す看板「飛び出し坊や」の“千反田風”にも出合え、ファンとして興奮と感動の連続だった。

 ゴールの中橋観光案内所では、アニメの声優4人の色紙などの特集コーナーが設置されており、最初から最後まで楽しませてくれた。

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