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キャベツ高値で「吉田のうどん」ピンチ…トッピングに使い独自の文化、「このままでは値上げせざるを得ない」

読売新聞 / 2025年1月21日 8時13分

白須うどんのかけうどん。キャベツがふんだんに使われている。左の小皿は50円で追加できるキャベツ

 キャベツが高い。全国的に記録的な猛暑が続いた影響で不作に陥り、販売価格は例年の3倍以上に上昇、高止まりが続いている。キャベツが欠かせない郡内地方の郷土料理「吉田のうどん」店では経営が圧迫されているほか、各家庭でも食卓に登場する頻度が減ってきているようだ。(長瀬さくら、次井航介)

 「キャベツは吉田のうどんにとって絶対に必要な具材。その高騰は店にとって大きな打撃です」。17日昼過ぎ、山梨県富士吉田市上吉田東の「白須うどん」店主・白須邦光さん(39)は、うどんにキャベツを盛りつけながら、ため息をついた。

 標高が高く冷涼な気候の富士北麓地域では、稲作が難しく、小麦などの雑穀類に加え、高原野菜のキャベツ栽培が盛んとなり、トッピングに使った独自のうどん文化が育まれてきた。数多くのうどん店が味を競い合い、近年は訪日外国人も多く訪れる。

 1960年頃創業の同店は、そんな地域の中でも人気店の一つ。味はもちろん、かけうどん1杯500円からという安価な価格も売りで、多い日は200杯を提供する。

 キャベツは1日16玉ほど使うこともあるが、これまで8玉1500円程度だった仕入れ値は、1月上旬以降、約2・7倍の4000円前後で推移しており、大きな負担となっている。

 小麦などの高騰を理由に2022年に50円の値上げに踏み切っており、白須さんは、「ただでさえ、物価高が深刻なのに、キャベツまで高騰が続けば値上げせざるを得ない」とうつむく。

■利益見込めず

 甲斐市中下条の「とみや青果店」の3代目店長・大森功さん(77)も「ここまでの高騰は今までになかった」と驚く。

 同店では、1玉150~200円程度で販売してきたが、昨秋頃から徐々に価格が上がり始め、例年よりも小ぶりなサイズが目立つにもかかわらず、1月には1玉最大600円に。

 約80年間、地元住民を中心に愛され続けてきたという恩を感じているからこそ、利益は度外視でなるべく仕入れ値に近い価格で販売しているといい、「キャベツでの利益はほとんど見込めない」という。

 同店の常連という同市の主婦(65)は揚げ物の付け合わせやロールキャベツなどでよくキャベツを使っていたが、価格高騰でキャベツを使った料理の頻度が減ったといい、「よく使う野菜なので生活への影響は深刻。早く前の値段に落ち着いてほしい」と話した。

■いつまで続く?

 農林水産省が今月15日に公表した6~8日の全国のスーパーなどの小売店で売られるキャベツの平均販売価格は、1キロ当たり534円と例年の約3・3倍。その後も高止まりが続く。

 同省によると、主な生産地である愛知、千葉県などで昨年8~9月の猛暑や、同12月に気温が低く、雨が少なかったことなどが生育に影響を与え、出荷が遅れていることが要因という。

 今後、出荷量の回復も見込まれるが、例年ほどには及ばないといい、しばらくは店舗や消費者にとって、苦しい状況が続きそうだ。

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