首相、トランプ氏との信頼構築が焦点…孫正義氏らに攻略法尋ねるが「トランプ氏と合わない」と不安視する声も
読売新聞 / 2025年1月21日 7時56分
米国のトランプ新政権を巡っては、石破首相とトランプ米大統領が信頼関係を構築できるかどうかが焦点となる。「米国第一」の主張と折り合いをつけ、日本の国益を守りながら日米同盟を盤石とするには、首脳外交の役割が大きいためだ。首相は準備を重ね、2月前半にもトランプ氏との初会談に臨みたい考えだ。
■トランプ・モード
「24日を過ぎたら、『トランプ・モード』に入る」
首相は最近、周囲にこう漏らした。24日召集の通常国会で施政方針演説を終えれば、トランプ氏との会談準備に注力する意向を示したものだ。少数与党で政権基盤が弱い首相に関しては、「決断力ある強いリーダーを好むトランプ氏と合わない」(自民党関係者)と不安視する向きが多い。
首相は昨年11月7日、大統領選で勝利したトランプ氏と電話会談し、「非常にフレンドリーな感じがした」と印象を語ったが、5分ほどに過ぎず、相性は未知数だ。一時は大統領就任前の会談も模索したが、入念な準備と事務レベルの協議の積み上げがいかしやすい就任後が望ましいと判断した。
日本政府が就任前の会談も視野に入れたのは、第1次トランプ政権でトランプ氏と蜜月関係を誇った当時の安倍晋三首相の成功体験を意識したためでもあった。安倍氏は2016年11月、各国首脳に先駆けて就任前のトランプ氏と会談し、距離を一気に縮めた。
もっとも、当時を知る日本政府関係者は「各国が警戒する中で懐に飛び込んだ安倍氏の決断をトランプ氏は心から感謝していた」と振り返りつつ、「トランプ氏が政治の素人だったから響いた面もあり、今回は同じ手法は通用しなかっただろう」と指摘した。
■攻略法
首相は昨年12月の読売新聞のインタビューでは「安倍さんは安倍さんのやり方があり、自分は自分なりにやっていきたい」と強調した。安倍氏がトランプ氏と交流を深めたゴルフ外交も「やるつもりはない」と周囲に語る。同盟や経済連携の共通利益を説きながら信頼を深める戦略を描き、「共に達成すべき利益は何かをよく考えていけば、必ず一致点はあるはずだ」と訴える。
首相には、実業家出身のトランプ氏は「ウィンウィンでなければいけないことは分かっているはずだ」との期待もある。ただ、そこに至るには、トランプ氏に耳を傾けてもらう必要がある。
首相は昨年12月に麻生太郎・自民党最高顧問と、今年1月には孫正義ソフトバンクグループ会長兼社長と面会し、トランプ氏の攻略法を尋ねた。トランプ氏との面会経験を持つ両氏はいずれも、長々とした説明を避けて簡潔な結論を心がけるよう助言したが、首相は「私が最も苦手とすることです」などと答えたという。
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