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若手官僚の離職 国を支えるやりがい取り戻せ

読売新聞 / 2025年1月21日 5時0分

 近い将来に国政を支えることになる若手官僚が次々と辞めてしまうようでは、国力の衰退を招きかねない。離職増の背景を分析し、離職を防ぐ対策を急ぐべきだ。

 2014年度に採用された国家公務員の総合職約620人のうち23%にあたる約140人が、23年度末までに退職していたことが人事院の調査で分かった。採用から10年未満で、同期の4人に1人が離職した計算となる。

 また、23年度の1年間に退職した、採用から10年未満の官僚は203人で、過去最多だった。

 キャリアと呼ばれる総合職は、採用から6、7年で課長補佐に昇進することが多い。政策立案などで知見を得て、一定の責任あるポストに就いた直後に、給与の高い企業に移る例が目立つという。

 転職が珍しくない時代になったとはいえ、中央省庁で働く官僚は、様々な統計や課題を踏まえて必要となる政策を練り上げる重い役割を担っている。そうした業務は本来、やりがいが大きいはずだ。

 ただ近年は、野党がヒアリングと称して官僚を呼びつけ、不必要なまでに批判する場面が散見された。官僚自身の不祥事も後を絶たない。そうした現状に嫌気がさした人も多いのではないか。

 一方、人事院が、採用から1年目の総合職を対象に行った調査によると、職場の魅力向上に最も必要な取り組みとして「給与水準の引き上げ」があがり、「超過・深夜勤務の縮減」「テレワークの活用や業務効率化」が続いた。

 人事院はここ数年、初任給を引き上げている。大卒の総合職の初任給は現在、23万円だ。

 初任給が30万円を超える商社やコンサルタントは増えているが、財政が逼迫ひっぱくする中、民間企業の最高水準に官僚の給与を合わせるのは無理がある。

 人事や給与の年功序列を改め、評価に能力や実績を反映させることで、仕事で成果を上げた若手の昇進や昇格を積極的に進める必要もある。このほか、職場に近い公務員宿舎の整備など、福利厚生の充実は効果的だろう。

 官僚の働き方改革も一層進めなければならない。

 与野党は23年、国会で「速やかな質問通告に努める」ことで改めて合意した。その影響か、昨年の通常国会で官僚が答弁を作り終えた平均時刻は、前年に比べて1時間ほど早い午前0時48分だったが、長時間労働は続いている。

 与野党は質問通告の更なる迅速化に努めることが大切だ。

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