氷点下でパレード取りやめのワシントン、それでもトランプ支持者からわき上がる「USA!」
読売新聞 / 2025年1月21日 13時50分
「人種差別を許すな」と抗議集会も
【ワシントン=山本貴徳、冨山優介】ドナルド・トランプ氏(78)が米国の第47代大統領に就任した20日、厳寒の首都ワシントンに集まった支持者らは熱気と興奮に包まれた。市内には祝福ムードが広がる一方で、トランプ氏の就任に抗議する集会も開かれた。
ワシントンではこの日、最高気温が氷点下となり、寒波のために就任式は連邦議会議事堂内で開催、屋外でのパレードも取りやめとなった。それでも、トランプ氏支持者らは各地から集まり、民主党が強い地域にもかかわらず、トランプ氏のスローガンが書かれた帽子をかぶる歩行者の姿が目立った。
就任式の様子は、スポーツ施設「キャピタル・ワン・アリーナ」で中継され、約2万人を収容できる施設は支持者で埋め尽くされた。トランプ氏が就任の宣誓をする様子が映し出されると、「USA!USA!」の声がわき起こった。夕方、就任式を終えたトランプ氏が会場に姿を現すと、拍手が鳴り響き、高揚は頂点に達した。
イリノイ州シカゴの高校教師ハンター・ハウルさん(22)は「歴史的な瞬間を見届けたくてここまで来た。中東やウクライナなど世界の問題を解決し、平和をもたらす大統領になってほしい」と期待を込めた。
フロリダ州フォートマイヤーズの警察官、クリス・リーブさん(54)は「バイデン前政権で米国の治安は悪化した。この国の安全を任せられるのはトランプ氏だけだ」と力を込めた。
フロリダ州パームビーチの薬剤師、パトリシア・ゲボーさん(50)は2017年にも、トランプ氏の1期目の就任式とパレードを見るためにワシントンへ来ていた。「天候に恵まれれば、もう一度、あの素晴らしい光景を見られたのに」と残念がり、「トランプ氏はこの国の未来を明るくしてくれるはずだ」と語った。
ワシントンではトランプ氏の大統領就任に民主党支持者らが抗議する集会も開かれた。参加者は「人種差別を許すな」などと書かれた看板を持ち、雪の残る公園に集まった。
ノースカロライナ州ガストニアの中学教師男性(33)は「私は黒人だが、トランプ氏は人種的少数派への差別を容認するような発言が多く、非常に不安だ」と表情をくもらせた。
17年の就任式では抗議活動が広がり、ワシントンで200人以上が当局に拘束された。当局は今回、支持者と反対派の衝突や過激な抗議活動、テロの発生を警戒し、厳戒体制を敷いた。ホワイトハウスや連邦議会議事堂、キャピタル・ワン・アリーナの周辺道路は多くが封鎖され、多数の警察官らが各所に配置されるなど、物々しい雰囲気となった。20日午後時点で大きな混乱や騒動は起きていない。
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